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廣松渉哲学論集 (平凡社ライブラリー)
 
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廣松渉哲学論集 (平凡社ライブラリー) [単行本]

廣松 渉 , 熊野 純彦
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

一九六〇年代以降、物象化論に立つ思想家としてこの国のマルクス主義理論をリードした廣松は、同時に、現代日本を代表する“哲学する哲学者”だった。「物的世界像から事的世界観」へと、近代的世界観の地平を超え出ようとするその哲学的思考・構想のエッセンスを一書に編む。思想形成の軌跡をたどる懇切な解説を加え、読者を一挙に廣松哲学の中枢へと連れ出す一冊。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

廣松 渉
1933年生まれ。東京大学大学院哲学科博士課程修了。元東京大学教授。専攻は哲学。1994年没。戦後日本を代表する哲学者のひとり

熊野 純彦
1958年、神奈川県生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業。同大学大学院博士課程単位取得退学。現在、東京大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 582ページ
  • 出版社: 平凡社 (2009/09)
  • ISBN-10: 4582766781
  • ISBN-13: 978-4582766783
  • 発売日: 2009/09
  • 商品の寸法: 15.8 x 11 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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By Tod
形式:単行本|Amazonが確認した購入
「実存は本質に先立つ」とサルトルは言った。これを「『である』に先立って『がある』が在る」と言い換えることもできるだろう。しかし廣松はこの実存主義的命題を否定する。『である』と『がある』は同時的であり、むしろ関係の第一次性を強調するなら『である』は『がある』に先行する。「夫」と「妻」は「夫婦」という関係があって初めて項として成立する。「男性」と「女性」も「男女」という関係があって初めて成立する。「人間」もまた他の動物との関係を俟ってはじめて人間たりうる。「私」もまた他者との関係がなければ成立できない。かくして項としての物自体は関係から独立しては存在しえない――。
 廣松渉が1994年に亡くなっている以上、2009年に発行された本書は新作ではありえない。内容は『世界の共同主観的存在構造』をメインとした過去の論文の抜粋である。編者の熊野純彦は「廣松哲学への入門書となることをも企図している」と解説で書いているが、廣松初心者に本書を最後まで読んでもらえるかどうか不安である。特に(他のレビュアーも指摘しているが)『世界の共同主観的存在構造』の第一部第二章「言語的世界の事象的存立構造」が「言葉の意味と認識の問題」(『もの・こと・ことば』の「意味の存立と認識成態」)に差し替えられているのには違和感を覚える。『世界の共同主観的存在構造』をそのまま再録しては芸がないということで苦渋の決断だったと思われるが、ここで挫折する初心者は少なくないのではなかろうか。本書はむしろ廣松哲学になじみのある読者が復習を兼ねて楽しむ参考書であろう。
 そんな廣松ファンにとって最大の特典は熊野純彦による解説ではないだろうか。特に廣松の卒業論文『認識論的主観に関する一論攷』(岩波書店『廣島渉著作集』第十五巻収録)に関する記述は興味深い。「ψは偽であると主張することは「ψは偽である」は真であると主張することに外ならないと云われる。真理は存在せずと主張することは、「真理は存在せず」という真理の存在を主張することに外ならないと云われる」「此れに従えば、一切の主張は結局の処、ψは偽であるとの主張に帰着する。然して人は是に拠って絶対的懐疑論、絶対的な相対主義は不可能であると云う。(……)是にして当を得ているならば爰から一体何が帰結するかを考覈しよう」廣松自身が『世界の共同主観的存在構造』を「卒論のリライト」と称しているとおり、この時点で廣松哲学はすでに完成の域に達していたことがうかがえ、今さらながら早世が惜しまれる。『存在と意味』を完成してほしかった。
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7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 古本屋A トップ1000レビュアー
形式:単行本
既刊の書物「世界の共同主観的存在構造」「もの・こと・ことば」「事的世界観の前哨」などから抜粋され、新規に組まれた論文集。結果的に、「存在と意味」を補完する廣松哲学の鳥瞰となっている。「新哲学入門」という本があって、これとダブルのだが、「新哲学入門」は、新書版で、入門用に書き下ろされているのでわかりやすい分、著者の独特の哲学的思考は文章には反映されなかったのだが、本書は、「存在と意味」に到る過程の名論文を抜粋して組んであるので、密度の濃いこと話のほか。著者の思考を存分に浴びることが出来る。といっても、いずれも有名な論文で、既に読んでいるものばかりという人も多いだろう。それに、初めて読む人に、本書が「一番」相応しいかどうかはわからない。既読の読者には、しかし、新しく組まれた論文の構成は、それなりに新鮮で、既読の各論文が、違った目で集中して読める、という良さがあると思う。巻末の廣松渉小伝も名著で、知らない人には魅力ある付録だと思う。一方で、廣松渉は、常に誠意の人であったと思えるのは、既刊の書物は、決して「独創性」を理由に、読者のことを無視した書き方はしておらず良く考え練られた論文集だったと改めて思う。「世界の共同主観的存在構造」では、本書の第2論文ではなく、類似の論文を載せているが、自分としてはそちらが分かりやすかったと思う。むしろ本書所収の「言語の意味と〜」はその度外れた力量はともかく、過去の意味論・言語論のサーヴェイをヴィトゲンシュタインの紹介を最後に自説に転じるが、いまひとつ繋がりが十分な気がしなかった。むしろ、「世界の共同〜」所収の「判断の認識論的基礎構造」が学説史の中で廣松哲学がより分かりやすかったように思えた。また、違った目で既読の論文を読むと、改めてサルトルの批判は牽強付会で、サルトルに分があると思うし、共同主観性の立論も、個別的意識との対比で強引さが目立った。でも本書は内容の濃さ、本の厚さ、ハンディなこと、全てにおいてよく出来た魅力ある文庫だと思う。哲学に関心のある人は、一冊持っておいて良いものだと思う。
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珠玉の論文集 2009/9/27
By USC VINE™ メンバー
形式:単行本
 さて、廣松が没して数年になります。未だに冷めない廣松哲学。未だに多くの読者を魅了して止まない独特の文体。そして、冷静な分析。何時までも新鮮なイメージを提供してくれます。本書は過去の「著作集」から独自に編集した論文集です。マルクス主義から「存在と意味」までにいたる論文は心を動かされます。本書を読めば廣松の後半の哲学の入り口をのぞけます。そして、廣松哲学の何よりの入門になることは間違いないです。
文庫と言うサイズになって何時でも廣松の哲学に触れることができる好著です。
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