まず、この本に掲載されている光景が、現代日本の一部であることに驚かされます。
よく映画などで、最終戦争からウン百年後、高度に成長した文明が滅び去った地球…などという説明があったりしますが、
丁度あのような感じ。人の営みの形跡はあるのに、いるべき主の姿が消えた不思議な光景が広がります。「狭い」が枕詞
のような我らが国土にも、かような時間が止まったような廃村の風景は、そこかしこにあるようです。
それにしても異様な風景ですね。時代や文明の進行とともに、役割を失ったものは、例え町であったとしても、消滅することが
あるのは当然ですが、ほんの数十年前まで賑やかに人の往来があったであろう町や建物が、自然に帰りつつある様子は、なんとも
形容しがたく、胸をうたれるものがあります。諸行無常盛者必衰。何かと考えさせられるものがあります。
このような本を買っておいてこう書くのもなんですが、こういう廃村は、日の目を見ずにそのまま過去に置き去り、もとの自然に
戻してしまうのが正解のような気がします。ちょっと様子を見るくらいは許されるでしょうが、そのような時でも興味本位で土足
で踏み荒らさず、くれぐれも本来の主であった先人や、いろいろな思いを抱きながら離れざるを得なかった人々に対する敬意を
忘れずにしたいものです。