イザナミが始めに生んで海に捨てられた,蛭子の神通力によって壊滅から救われる四人の帝王達の美しい物語.元の最後の皇帝,明の二代皇帝と最後の皇帝,そして後鳥羽院.この妖しい力が中華の地に齎されたに就いては マルコ ポーロ の旅が寄与したらしい.一見琥珀のような玉が,これで最後ぎりぎりにまで追い詰められた所有者に,この世ならぬ力を与え,完全な破滅から救い出すのだ.その有様は所有者の置かれた状況により様々であるが,なにやら蜃気楼に巻き込まれたような幻想的な美の世界が現出するようである.私は著者の 安徳天皇漂海記 をまだ読んでいないが,この手の幻想美はこの本で初めて出会って感激させられた.これは病みつきになりそうだ.