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ぽったん、ぽったんと、雨だれが単調な音を刻むなか、男の周りの空気は次第にぴりぴりとした不穏の気で満たされていく。そしてそれとはっきり意識しないまま、男は幽明の垣根を乗り越えて、“あっちの世界”にするりと入っている。その辺の話のリズム、雰囲気をひたひたと盛り上げていく醸成感。これは良いな、肌に合うなと感じながら読み進めていきました。
話のしまい方も巧いですね。するするとシャッターが降りてきて、がしゃーん。目の前がすっと暗くなったような感じ。ざばりと冷水をぶっかけられたような心持ち。ぶっきらぼうなようで、そうではない。実に効果的なラストだなあと感心しました。
「春の向こう側」「庭の音」「トンネル」「超能力者」「不登校の少女」「市松人形」「廃屋の幽霊」の七つの話。どれも面白かったのですが、「トンネル」「超能力者」「廃屋の幽霊」が、殊に印象に残る短篇です。
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