中田薫氏と中筋純氏による廃墟本の第三弾である。
この本を開いてみると、廃墟写真をがむしゃらに撮っていた頃に自分も行った事のある物件も幾つかあった。しかし、近隣の住民の目が気になってなかなかじっくりと観察出来なかった。それをこの本では写真を多く載せているばかりか、廃墟に至った経緯までもを詳しく解説しているのは流石だと思う。
それから、B級スポットとして都築響一氏の著書「珍日本紀行」に載せられていた物件までもが廃墟として紹介されているのは興味深さを感じると共に、B級スポットの運営がいかに難しいかを実感させられる。例えば、かつて「ネッシー」ならず「イッシー」なる怪獣騒動が起こった鹿児島県池田湖のイッシー王国や、宮崎県のだるまの森などである。こういった物件を見るにつれ、一抹の寂しささえ感じる。
しかし、その一方で、軍艦島(端島)の様に、産業遺産としても観光の目玉としても残しておこうという廃墟もあるのは朗報だ。軍艦島はタイムリーな事に、この本が発売される数日前に遊歩道まで整備されて見学出来る様になった。これは廃墟としても名誉な事だろう。広島の原爆ドームが廃墟となっても歴史的に価値がある様に、こういった廃墟も歴史の生き証人として多少は残してゆくべきだろう。