涙が止まりませんでした。
女学生「粟屋康子」が克明に綴った日記には、太平洋戦争末期に東京で勤労動員として励む乙女の切なく率直な思いが詰まっていました。
明るくユーモアにあふれた家族が、父の広島市長就任に伴い両親が東京を離れ、更に弟妹の学童疎開などでばらばらに引き裂かれます。離れ離れの家族が励まし合う温かい手紙の内容に胸が熱くなりました。
しかし原爆で父と弟が亡くなり、母も、広島入りした康子の必死の看病の甲斐もなく亡くなります。そしてついには康子本人も母と同じ症状で19歳の短い生涯を閉じます。
康子が亡くなる直前までつけていた日記には家族や友人を愛する切ない気持、そして国を愛し、愛するが故に国に対する毅然とした思いが綴られています。読み終えたとき、当時の康子の悲壮な決意に思いをいたし、しばらく呆然とするほど感動しました。
また、奇跡の赤いバラのエピソードなど、著者が丹念に取材した秘話の数々にも驚き感激しました。
おススメの一冊です。