座頭市シリーズ、大映作品全集の2セット目。このボックスには、第7作『座頭市あばれ凧』から、第12作『座頭市地獄旅』までが収録される。公開当時に大成功を続けたこれら中盤作品では、いよいよ勢いは増し、娯楽時代劇としての真価を見せつける。
見どころの例を挙げるなら、殺陣の充実が尋常ではない。
水中戦や、暗闇から不意に出現してじわじわと敵を斬り捨てて行くゲリラ戦を展開する、第7作『座頭市あばれ凧』。ライバルの用心棒に平幹二郎、関所に殴り込んで代官まで全滅させる大立ち回りは、第9作『座頭市関所破り』。三木のり平をゲストに迎え、タイトル通りの「二段斬り」を披露する第10作『座頭市二段斬り』。藤山寛美のニセ座頭市が登場、初めて海にやって来た座頭市が、投網やモリといっ!た武器で攻撃される第11作『座頭市逆手斬り』。
しかし、何と言っても白眉は、三隅研次監督による次の2作。盲目の市を斬るために、敵がいろいろな作戦で居合を封じようとするのはシリーズの恒例となるが、初出は第8作『座頭市血笑旅』での火攻めであろう。実際に衣装も燃えている、危険かつ迫真の戦い。殺陣意外にもこの作品は、市が赤ん坊を連れて旅をする姿を描く、人情に溢れたシリーズ屈指の傑作である。さらには、名優・成田三樹夫が将棋好きのニヒルな浪人として登場、市と一緒に旅をしながら、徐々に対決へと向けて緊迫して行く、スリルに溢れた第12作『座頭市地獄旅』。市と門付け芸人の母子との交流に心暖まりつつも、やはり何と言っても、成田三樹夫の殺気に尽きる。寒暖を備えたストーリーと、シャープな映像。
第1作では全部で3人しか斬らなかった市が、シリーズの展開につれて大量殺戮の超人になるのは評価の分かれるところではあるが、基本的な精神は一貫していると考える。常に最後には、ひとりで苦悩しながら去って行く座頭市の後ろ姿を見れば、それは明らかなのではないか。