非常に読みやすい内容で多くの共感する点がありました。
以前、アメリカの住み始めた頃、大手のスーパーで買い物をしてレジに並んでいたら
前の客とレジ係りが話し込んでたのを見て、知り合いかなにかかなと思っていたところ、
自分の番になった時にレジ係りがいきなり買い物籠に入っていたアイスを見つけ、
「そのアイス私も好き、でも今度は○○フレーバーも...試してみて」と言われ
ビックリさせられたのを思い出しました。
でも子供の頃に自分の家の近所にあった商店街を思い起こしてみると、同じような
やりとりが行われているというか、もっと深いコミュニケーションがあった事を
思い出しました。近所の八百屋や魚屋のおじさん、おばさんは私の名前も、住んでる所、
家族構成や友人関係、さらには習い事など恐ろしいほどの事情通で、買い物という
行為は単なる品物とお金の交換だけではなく、間違いなく人と人とのコミュニケーションが
存在していた。ところが最近の買い物は「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」
などの型にはまった余所余所しいコミュニケーション(と呼べるかわからないが)は
しっかりしているが、それ以外のコミュニケーションはほとんど見かけない。
この本の中で顧客を知る、そして顧客にとっての価値の創造という事が大事だと述べれていたが、
それは性別や年齢、職業、年収、来店頻度などのよくあるマーケティング的なデータではなく、
昔の商店街の八百屋のおやじさんがやっていた様なコミュニケーションを通して知る事であって、
それらはなんだか日本人の心の奥にある琴線に触れる懐かしさを感じる。
(この様なところがドラッカーが特に日本人に支持される理由ではないだろうか?)
でもそれは単に昔のやり方に回帰しろという事ではなく、八百屋のおやじさんが暗黙知で
行っていた事を形式知にして組織の文化に組み込んでいくという指摘もされており、
店長のみならず企業などの組織に所属する全ての人に共感できる有益な経営学の本である。