海外旅行先で、チリ人の会社経営者と知り合いになった。その人に「日本人は英語が苦手だから」と言ったら、「どうして? 私の国にいる日本人のビジネスパートナーは誰もみんなとてもうまい英語を喋るよ」と言われた。ところがその2年後、そのチリ人が初めて日本に来たとき「日本で、こんなに英語が通じないとは思わなかった」と言うのである。自分の国での経験から、日本人は誰でも英語が喋れると信じ込んでいたのだ。
日本は、それだけでひとつの「世界」だから、外国の言葉を覚える必要がなく、英語を学ぶモチベーションがないのである。しかし、日本人は、決して外国語を覚える能力がない訳ではない。
この本は、英語を話す機会が多くなっている全国の飲食店・販売店の店員さんや旅館の仲居さんや美容師、タクシー運転手などに、「英語を学ぼう」という、絶好のモチベーションを与えてくれる好著である。何よりも感心したのは、ただ単にこの本で紹介されている英語を覚えて対応できればいいというだけでなく、日本人特有の「思いやり」の気持ちをシンプルな英語でどのように表現すればいいのかも、きちんと解説されていることだ。
もうひとつ思ったのは、この本に出てくる英語を覚えれば、日本を離れて海外旅行に行って「客」という立場になっても、何の問題なくコミュニケーションできるだろうということだ。そうすれば、海外旅行がもっと楽しくなるだけでなく、その人の人生も何倍も楽しく深いものになるはずである。