もはや体の一部のようなヴァイオリンとピアノ、改めてTSUKEMENの音作りは、生音の究極にこだわった職人技による結晶であることがわかります。
ヴァイオリンとピアノ、それぞれの存在についても、彼らが究める音の微分値まで熟知した相手に任せなければ成し得ない高みがあり、
そのことで彼らは自分の演奏に専念できるのだと思います。
彼らの音は革新を求めて熱いうちに刻まれているから、音にエネルギーがあり、古くささを感じさせないだけでなく、
日本における音楽を「変えよう」とする野心も感じます。
なんて生命力の宿った音を紡ぐのだろう。初めてTSUKEMENのステージに触れた時、まずそのことに惹きつけられました。
音のデザインから演奏、更には録音のバランスに至るまで、細部の緻密さにまで恍惚を感じられることがTSUKEMENのCDの醍醐味です。
かと言って、何か人生を熱く語る曲というわけでも涙を押しつける演出がされてるわけでもない。
まず自分たちが心地良いと思える楽曲が選ばれてあり、そして非常に凛としており、その佇み方は音楽の気高さを物語ります。
彼らの曲に私は淡々と流れゆく日常の雑踏を映しこみ、同時にその反対の揺らがない自分の内面へ気持ちを降ろすことができます。
TSUKEMENの音楽に触れる際、きっと気づくのは、ただのお洒落な音楽なのではなく、あるいはただ演奏がうまいということだけでもなく、
彼らの信念がしっかり音楽に反映され、呼吸や間合い、歌の細部にその沈静した美意識が貫かれている点ではないかと思う。
夏の暑い日にひんやりとした涼しさをくれる「ひかり」や現実と幻の狭間で何かが憑依して我々を導く「不知火」、
それらがうねりとなってぐるぐると大胆に押し寄せ、そして空間の彼方まで飛んで行き、また傍に戻ってきます。
様々な新しい芽を感じる作品であり、インディーズアルバムとして制作されたこのアルバムは、
BASARA、
KIYARI の後に聴き直すと新たな味わいを必ず発見するはず。
パッケージがリニューアルされ、TSUKEMENのミュージシャンとしての存在感がキラリと輝く瞬間に出会えます。