江戸時代後期の江戸は,広告活動が欧米より早くさかんで,看板や引札から,広告が絵の中に描かれている錦絵,広告の入った草双紙,ガイドブックである案内本,カタログ的な雛形などもあった。
戯作者はコピーライター,浮世絵師はデザイナー,版元はアート・ディレクター的役割も果たしていたのだ。十返舍一九は,取材した店を作中で紹介してタイアップ的なことをしていたし,国学者本居宣長は家伝の薬の宣伝文をしたためていた。「土用の丑の日は鰻の日」というコピーをつくったのは奇才平賀源内である。
文化文政時代には日本人の6分の1が伊勢参りをしたほど旅行もさかんで,ガイドブックも出され,名産名物番付や地図つき引札も出た。見世物や歌舞伎,相撲が流行を作り,多くの浮世絵が描かれた。
『広告のなかのニッポン』の著者でもある中田節子は,本書でも江戸時代を斬新にとらえている。本書の監修は,江戸文芸研究家としてテレビ・映画の時代考証に携わる林美一である。 (フリーランスライター 杉山 由美子)
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