幽霊狩人とは言っても、強靱な肉体と精神力を備えた幽霊退治屋が迫り来る妖怪化け物をバッタバッタとなぎ倒す、というわけではありません。
この物語に出てくるカーナッキ君は肉体的にはごく普通の、ただやたらオカルトに詳しいだけの、一体何を仕事にしてるのかよく分からない、うさんくさい人間です。
たまに本当にこの道のプロなのか?といいたくなるほど飛んでもない凡ミスを犯したり、
あまつさえ、ブライアン・ラムレイが言ってるようにその現場から逃走したりもします。
情けないと言えば情けないのですが、まあ現実的に見た場合そんな物かなとも思いますし。
しかし、トリックの一部が憶測混じりでイマイチはっきりしないのは困りもの。
テイストとしては月刊ムー辺りに載ってそうなうさんくさい体験談みたいですね。
作品の並びは国書刊行会版とは変更されていて、「次はどっちだ?」というワクワク感は
(というか、国書刊行会の並びでは最初の三編以降はなんかがっかりな出来なんですけど)
個人的には訳が秀逸で読みやすかったです。
・礼拝堂の怪
カーナッキ初登場
とある旧家の礼拝堂で執事が何者かに刺された。しかし、その場に目撃者が居たにもかかわらず誰が、どのようにして彼を刺したのかは判らない。果たして事件の真相は?
・妖魔の通路
とある旧家で起こる毎夜の怪異。どう見ても心霊現象にしか見えないそれらの元凶はいったい何なのか?
・月桂樹の館
友人が買い取ったという家はあるいわくが付いていた。彼自身が体験したという話を聞いてカーナッキも調査に出かけるが……。
・口笛の部屋
夜になると毎夜とある部屋から聞こえてくる口笛。太古の悲恋が明らかになる
・角屋敷の謎
カーナッキが心霊探偵を始める前。母親と一緒に暮らしていた頃の話。
・霊馬の呪い
「この家から嫁いだ娘には霊馬の呪いが降りかかる」そんな言い伝えのある旧家で起こった怪異。果たして本当に霊馬の呪いなのか?
・魔海の恐怖
逃げ場のない海原で襲い来る怪異。この呪いを祓うことが出来るのか?
・稀書の真贋
これまでとは一風変わった正統派古書探偵もの。唯一無二であるはずの稀覯本が2冊が存在した?!カーナッキが真相を暴く
・異次元の豚
毎夜奇妙な夢を見るという依頼を受け、催眠治療を開始するカーナッキだが事態は思わぬ方向に。実質的な最終回。それなりに分量はある。
・探偵の回想
探偵は回想する。自らの事件を。剣の呪いを、血の滴る屋敷を、不気味な霊馬の嘶きを、黒い影の恐怖を。
カーナッキの事件を著者自らが13ページにまとめた貴重な掌編。本邦初訳……らしい
どうでも良いですが、このカーナッキには"Ghost Hunter"ではなく"Ghost Finder"という肩書きが付いているらしいです。日本語ではどう訳されるのかイマイチ判りかねる単語ではあります