本書は、一般的な幽霊・心霊のお話ではなく、文学・芸術面にちょっと特化しています。
『心霊トリック写真も多数収録』という説明に惹かれて読んでみたけど、少数でした。
一部に難解なところもあり、数回読み返しても理解できなかったりと、期待とは裏腹。
しかし、知的好奇心をくすぐる内容で、幽霊を通して、奥深い文化や歴史・宗教観の一端に触れることができました。
分野の違う15人の著者の書く「幽霊学」はさまざま。
古今東西の文学作品における幽霊の役割から、能の世界での幽霊の位置づけ。
さらには映画『
リング』とハリウッド・リメイク版『
ザ・リング』との比較による東西の恐怖感覚の違い、などなど多様です。
章によっては、語られる対象の基礎知識や歴史的背景などを充分に知らないとキビシイ部分もあります。
これはこれで、別の本を探して勉強することで、文学・歴史・宗教観の勉強にもなるので楽しいです。
編者が序章で『幽霊を語る我々は自分自身のことを語っているのだろう』と述べているように、本書は幽霊を媒体とした人間学なのです。
しかも、バケて出るくらいだから、心の本質に迫るドロドロの人間学。
本書は、鳥肌を立てるためではなく、人間の恐怖を考えるための一冊です。
幽霊が登場する小説の紹介もあり、ブック・ガイドとしても楽しめます。