【あらすじ】
これまでの16人の花嫁を実はみんな殺してしまったのでは……と噂される
幽霊伯爵の17番目の花嫁に選ばれたサアラ。嫁ぎ先である屋敷は墓地の中
に建っていて、夜になると幽霊が徘徊するという恐ろしい場所だった。
しかし、可憐な容姿とは裏腹に美しく強かなサアラは、幽霊を恐れることな
く日々を楽しみ、更には妻に無関心な夫ジェイクまでをも翻弄する――
【感想】
この作品の一番の魅力は、美しくも強かなサアラの造形だと思います。自分が
美しいことをちゃんと分かっていて、それを最大の武器にしてしまう強かなヒ
ロインは、本当にパワーがありました。今までにないヒロインで良かったです。
ただ、ヒロインの造形に歪みがあったり、思考が作者の都合によって導かれて
いるところがありましたので、そこが非常に勿体なく思いました。例えば、終
盤、おじいさんの真相が語られた後、サアラがあることを悟る流れは、持って
いき方がどうにも不自然でした。何故、そこでそう悟ったのか、矛盾が生じて
いるので、辻褄の合うように展開させて欲しかったです。
更に言えば、見下されることを何より厭っているサアラが、「下さった」と感
じるのも不自然です。これらの矛盾点があった為、せっかくの良いシーンがも
やもやした思いで霞んでしまったのが、非常に残念でした。
サアラが最初からジェイクの優しさを見抜いていたり、彼だけは騙せないだろ
うと思う心境も、よく分かりませんでした。その辺りの心理描写は、もう少し
丁寧に掘り下げて描いて欲しかったです。
また、ヒロインの強烈な個性と、登場回数も多く生意気だけど憎めない息子の
エリオスの影に、ヒーローであるジェイクが隠れてしまっている点も残念なと
ころでした。もう少し、サアラとジェイクのやりとりが欲しかったです。
色々と難・矛盾点はありましたが、最後まで飽きることなく読み進めることが
出来ましたので、新人さんの力強さを感じる一作でもありました。