内容より、タイトルがいい。うまいものをつけるものだと思う。
ストーリに関しては、ほかの方を参考にして頂くとしてこの作品の見所は、出版業界を舞台にした殺人事件をテーマにしており、いうなら「本作り関することに生じる謎を本という形式で描く」といった具合でなかなか興味深い。裏を返すと、映像化するとこの味はでない。あくまで書物として鑑賞すべき作品。この作品の魅力は大部分がこれにある。あくまでマニア好みの作品。長らく絶版であったのもうなずける。この辺に関心が持てない人には肩すかしの感もあるだろう。純粋にミステリとしての要素にだけに注目するとたいしたことはない・・・・と思う人もいるだろう。では、なぜこの作品の評判が高かったのか?要するにこの作品を褒めるひとの大半がプロであれアマチィアであれ本に関わるひとであったと想像する。そういうひとには興味深い内容なのだ。
登場人物の配置、捻りを効かした展開とプロットがよくできているので、読み物しても飽きさせずいい。が、復刊No.1という肩書きに期待しすぎると少々拍子抜けする。当時は斬新であったろうミステリとしての仕掛けも現代の読者にはありきたりの予想範囲内と感じる可能性が大であるから。現代ミステリのレベルでいうなら、標準作といったところ。仮に日本の現代作家の名義で今出版されたとしたら、傑作、名作と持ち上げられることはないだろう。べつにこの作品がつまらない訳ではない。面白いと個人的には思う。ただ、この作品の不幸は、復刊No.1という肩書きが一人歩きしてしまったことにあるだろう。
最近、感じるのは真に読者の需要があるような作品は、必ず「復刊」されるということ。文庫にうん千円、うん万円もだしてネットオークションで購入するのは、ばかげているというところ。図書館で探してもいいし、その手のサークルにはいってかりてもいい。それがだめなら、20年ぐらいは地道にまつこと、まず間違いなく復刊する。まあ、そんなに焦ってもしょうがない。作品の出来がいいものでも、絶版になるということは、マニア好みということ。あなたが読んでも面白いと思うかは別。そのことに一喜一憂するより、人生にはしなくてはならないこと、すべきこと、したらいいことがたくさんあるという気がしてならない。