時代は江戸末期。
日本の周辺には外国の船が度々出没し、徳川の幕藩体制も揺らぎ始めた頃が舞台。
代々お鳥見役という下級御家人の家に生まれ育った「珠世」の目を通し物語は描かれています。
お鳥見役は江戸時代に盛んに行われた鷹狩のための役職ですが実は幕府の諜報機関のひとつ。
命じられれば将軍家のための鷹探しと称し、諸藩に侵入して内情を探索することもあります。
当然ながら危険もともなうだけに、家に残される女達の気苦労は絶えません。
そんな武家女の立場から夫婦、母と子、そして嫁姑の関係が感情豊かに描かれております。
時代小説ですから読み慣れないと少し違和感があるかも知れませんが、
読む価値が十分ある時代小説だと個人的には思っております。
著者ならではの人物や情景描写が繊細であり、
登場する女性の各々の立場や役割からの視点と感情表現が巧みです。
剣術遣いなどは一切登場しませんが面白い時代小説と思います。