本書、様々な雑誌に掲載されたエッセイを集めたもの。表題の通り、「禅」「心霊」「文学」と幅広い内容。本書の特徴は、「文学」に関しては著者が大学で教鞭を執っているという事情とは別に、実際に作品を創造する作家であり、「禅」に関しては在家の居士の身で長年禅寺に通って参禅をしている修行の実践者であり、「心霊」に関しては自分で本格的な研究もし、降霊会などにも参加して現場に精通しているということである。特に「禅」と「心霊」に関しては現場の実践の雰囲気が命であるから、この点は面白い読み物となっている。特に「心霊」の部分に関しては、なかなか知ることのできない「降霊術」の現場の雰囲気がよくわかる文章で、この手のものに興味があるがまだ余り知らない、という読者には良い手引きとなる一冊であろう。欲を言えば、というよりも率直に言えば、そうした点以外では、全体に何となく雑駁な感じの内容で、或る程度以上の読者にはもの足らない。「禅」の部分に関しては、実際に参禅している実践型の人物にしばしばあることなのであるが、記憶を頼りに書いて調べないので、人名などに勘違いや間違いが多い点が気になる。「心霊」に関しては、著者がすんなり信じているので、批判的、あるいは懐疑的とまでは言わないにしても、少々疑っているといった人にとっても、何となくお目出度い、という感じがぬぐえない。肩の力を抜いた、気軽なエッセイ集としては、主題といい、毛色の変わったものとして、楽しめるであろう。