様々なミステリーを操る奇才西澤保彦氏による書き下ろし作品です。
22年前、18年前、現在の3つの時間軸でそれぞれの事件が交わっていくというプロットの妙が秀逸です。1枚の写真から、紆余曲折を経て、主人公が時空を超えた真実を解明するという流れは、読者を一気に作中に引き込みます。
さすが西澤氏、上手いです。プロットもリーダビリティもトリックも、そして解決もハイレベルです。とくに真相究明においては、主人公を含む3人が知恵と推理を出し合って、様々な仮説を検証し、否定し、さらなる仮説を検証していくというループが何十回と繰り返された末に、真実に繋がります。この辺りに手抜きが全く無いのがミステリー好きにはたまりません。
手放しで喝采を送りたいところですが、唯一写真の少女の謎についてだけが少し無理が感じられ、実はこれは本書で最初のキーとなる部分であるだけに、残念でした。いっそ、ここは無くてもよかったのではとも思いました。
というわけで星を一つ減らしましたが、十分に楽しめる作品であったと思います。なお、時代設定が私と同世代というのも加点要素ではあります。