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(本書の名前や文庫の紹介を読むと、怪異ものの短編集かと誤解してしまったが、そうでない話のほうが多いし、また怪異ものではない話のほうが余情があってよい。余談)。
宮部みゆきの手になる江戸ものを読むと毎回感心するのは、江戸の庶民の生活というものをよく活写していること。長屋住まいの職人から、商家の主の話、奉公人の話。生活、しぐさ、語り口、習慣、などよくもまあここまでと思う。
師走の町に紙吹雪を降らせる奉公娘の悲壮な思いを描く「紙吹雪」、病弱な娘のために年に一度だけ押し込み強盗を働く畳職人とそれを追う目明しを描く「神無月」、辛くて自殺しようとした奉公人が出会う首吊り人の姿をした奉公人の神様を描く「首吊り御本尊」などことさら印象的だった。
中でも「神無月」は、病の幼子のためにやむなく押し込み働きをする男と岡引との心情を繊細に物悲しく書き上げた傑作だと思います。
強く生きると言うことを主題とした作品を紙芝居的に次々と生み出す著者の技量に感嘆させられました。
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