一読して感じたことは、「耽美であり、華麗であり、嗜虐的である」画風に対して、山本タカト氏本人はとても物静かな、それこそ非常に「思索的」な人物である印象を持った。
画集のごとき美麗な装丁と、深くそして騒ぎ立てることのない沈着極まりない文章。
惜しげもなく挿画されている、代表的諸作品。
この〈詩画集〉と称しても遜色ない、山本氏の随筆集は、氏自身の描き出す世界の持つ魅力を余すことなく書き出していると同時に、氏の住まいする「鎌倉」という、古都であり、戦乱の地であり、文士の町の持つ、香るような湿った情緒感も醸し出している。
氏のファンならずとも、美しい書物を愛する者であるならば、座右に置いても悔いなき1冊である。