幻狼神異記シリーズの完結編。
狼使いの魂をもつ少年健(タケル)は、狼神とうけひ(誓約)をかわした。
狼神と一体となることによって、タケルは澄んでいく魂と絶大なるパワーを手にした。
だが、タケルをねらう巨大な宗教団体「清明浄霊会」は、タケルをとらえるための罠をしかけてくる。
タケルが唯一気持ちをゆるしたクラスメイト、葛城ゆかりを誘拐したのだ。
一方、タケルの祖父、井上主馬を中心とする修験者たちは、狼神社の結界をはり、清明浄霊会との最終決戦の準備を着々とすすめていた。
刻々と近づく清明浄霊会と狼使いたちの最終決戦。
ついに、秘められてきたタケルの絶大なる力が全開する。
本を開いた瞬間から、息をつく間もない戦いの連続。
敵味方入り乱れてのバトルに、読み出したら途中ではやめられない。
だが、この物語は、決して、ただのバイオレンスでは終わらないのだ。
読み手は、きっと、すさまじい戦いの中に澄んでいく魂を目のあたりにするだろう。
物語も絵も、読み手に食い込んでくるような迫力がある。
が、一方で、心があらわれるような透明感も共存している。不思議な本だ。
最終決戦の後、敵も味方も、彼らはいずこへ帰るのか……
と、読み手までに、まるで渦中のひとりになったような感慨がのこる。
やはり『水の精霊』(ポプラ社)の作者なんだと思った。