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そんな生々しい19世紀フランスの出版業界の話なのだが、まったく今と同じである。当時の出版業界は、いまでいうベンチャービジネスだったらしい。黎明期だから、いい意味でも、悪い意味でもエネルギッシュだったことが、行間からうかがうことができる。
主人公は詩人志望の美貌の若者、リュシアン。彼の学生時代の親友は、彼の妹と恋仲にあり、父親が開業した印刷会社をゆくゆくは継ぐことになっていた。主人公は、一旗上げようとパリに上京する。
一方、印刷屋の父親は息子が文学なんぞに傾倒しているのが気に喰わない。「商売に学問は邪魔だ」と言わんばかりに。これって、創業者と二代目の苦労知らずのボンボンという典型的な図式ではないだろうか。
主人公はその美貌で貴族の有閑マダムを虜にして、運良く本の出版に至る。しかし、彼の夢は破れ、失意のまま、故郷へ戻る。八方塞がりとなってしまって死を決意するも、土壇場で、結局、彼は救われる。か弱き美青年ゆえに次から次へとふりかかる災難を自ら振り払うこともなく、誰かの尽力で乗り越えていく。
それにしても、本作に出てくるのは俗物ばっかりだ。文壇、論壇、政党党派など一筋縄ではいかない連中が獲物の分け前を狙っている。ロクでもない奴、いるいるこんな奴、オンパレード。これには、恐れ入るしかない。
確かに、長いし、厚くて、重たい。でも、この長さは認める。いやあ、こんな面白い小説は、最近読んでなかった、ほんとに。小説が娯楽の王様だった時代を代表する作品である。
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