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幻滅―メディア戦記〈下〉 (バルザック「人間喜劇」セレクション)
 
 

幻滅―メディア戦記〈下〉 (バルザック「人間喜劇」セレクション) [単行本]

バルザック , Honor´e de Balzac , 野崎 歓 , 青木 真紀子
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 3,360 通常配送無料 詳細
o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o
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幻滅―メディア戦記〈下〉 (バルザック「人間喜劇」セレクション) + 幻滅 ― メディア戦記 上 (バルザック「人間喜劇」セレクション <第4巻>)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

純朴な田舎の美青年リュシアンは文学的野心に燃え、地元社交界のスターである人妻とパリへ出奔するが、彼女に捨てられてしまう。理想に殉じ清貧に甘んじる青年詩人たちと知り合った彼は、その同志となる。だが安食堂で出会ったジャーナリストの手引きにより、いつしか新聞・出版業界の裏側へと迷い込む。そこで彼が見たものは、お追従記事や事実の捏造、いんちきの署名等々。メディアの汚濁に浸かりきった元詩人は、幻滅の果てに帰郷する。すると印刷業に精を出す、親友にして義弟ダヴィッドが同業者に騙され、おまけにリュシアンのミスのせいで逮捕されてしまった!絶望に沈み、自殺を決意してさまようリュシアンの前に、スペイン語訛りの謎の男が現れる…。

登録情報

  • 単行本: 472ページ
  • 出版社: 藤原書店 (2000/10)
  • ISBN-10: 4894341972
  • ISBN-13: 978-4894341975
  • 発売日: 2000/10
  • 商品の寸法: 19 x 12.8 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 人間喜劇中でも白眉の一篇, 2011/10/13
僕の中には「ゴリオ爺さん」「幻滅」「遊女盛衰記}は人間喜
劇の中でも特に「人間の坩堝パリの3部作」だという認識があ
る。「ゴリオ爺さん}を書き上げた夜、人物再出という手法が
頭にひらめいたバルザックは、この「幻滅」において遺憾なく
その手法を駆使して、騒然としたパリのジャーナリズムの世界
を描いた。この大作は「ゴリオ爺さん」完成直後の1835年
に書き始められたうえに、バルザック自身が渦中に身を置いて
いるジャーナリズム界を描いたのだから、彼のペンに一段と熱
がこもっているのは当然のことである。

主人公リュシアンはパリより南方の地方都市アングレームから
パリへ出て来た美貌の詩人である。家は貧しいが才知と美貌に
恵まれた若者といえば「赤と黒」のあのジュリアン・ソレルが
連想されるが、リュシアンの美貌は恐らくそれを上回っている
だろう。唯リュシアンにはジュリアン・ソレルのような強い意
志力がなく、虚栄心、驕り、意志薄弱、短気など、まるで弱い
性格の集大成といった感すらある若者なのだ。
リュシアンは詩集「ひなぎく」と歴史小説「シャルル5世・・」
の原稿を懐にしてパリへ乗り込むのだが、どこの出版社からも
相手にされず、貧乏に苦しみながらのパリ滞在となったのだが
、実はまだ純粋な気持ちを失っていなかったこの2、3ヶ月が
思い返せば、彼にとっての若者らしい青春の日々だったのだ。
この時期に彼はセナクルという思想、芸術、哲学を追求し語り
合う優れた若者達の集まりに参加する。一方、安食堂でよく出
会ったジャーナリストのエチエンヌ・ルストーとも親しくなっ
た。理想主義集団のセナクルとやや崩れた感じのジャーナリス
ト、ルストー。本来が怠惰なリュシアンは次第にルストーとの
付き合いの方に傾いてゆく。リュシアンは新聞の小さなコラム
に記事を書く機会を得て、その日たまたま訪れた劇場の楽屋裏
の光景を斬新な筆致でレポートした。かくして彼はジャーナリ
ストの地位を獲得し、目先の稼ぎの目途がつき、理想主義集団
セナクルからは益々足が遠退くこととなった。リュシアンの記
事は中傷記事において最も冴えわたる類のものである。こうし
た類の常として最初の衝撃で人々を感嘆させるのだが、繰り返
しているうちに段々と飽きられてくる。本人が気がついた時は
、もう流行の外にいたということになるのである。中傷をこと
としてきただけに、流行らないだけでなく、憎まれ嫌われてい
る。それでも華やかな流行の中にいたいリュシアンは豪奢な見
せかけのためにも多大な金を必要とする。故郷に無心するだけ
では足りず、自ら振り出した手形に義理の兄弟ダヴィッド・セ
シャールの署名を偽造してまで3千フランの金を調達する。馬
鹿なリュシアンは詐欺行為をするまでに落ちぶれてしまった。

この大作は3部から成り、第1部はリュシアンが文学愛好家の
バルジュトン夫人の愛人となって、2人でアングレームからパ
リへ出奔するまでが描かれている。第2部ではパリに着いてか
らバルジュトン夫人に捨てられたリュシアンの苦闘が書かれて
いる。第3部は落ちぶれたリュシアンが故郷アングレームに辿
り着く一方、リュシアンが振り出した偽造手形のせいで投獄さ
れてしまう義兄弟ダヴィッド・セシャールとその妻エーヴ(
リュシアンの妹)の苦しみが描かれる。

リュシアンとは何なのか? 虚栄心の塊のような馬鹿野郎だ。
周りの人にとって災厄そのものである。大阪人風に言えば、
「奴の美貌なんか屁の突っ張りにもならへん!」ということに
なる。
ともあれ、小説の主人公としては美貌と馬鹿のかい離の激しさ
が何よりも興味深く、人間の坩堝パリでもがきまわるリュシア
ンを描いたこの小説の第2部は人間喜劇の中でも白眉であると
言えるだろう。

第3部でリュシアンの出番は減ってしまうが、自殺を仄めかす
手紙を残して再び故郷を後にしたリュシアンは道中で馬車に乗
ったスペイン人牧師に声をかけられる。この牧師こそ「ゴリオ
爺さん」に登場した悪党ヴォートランの変身した姿であった。
今はカルロス・エレーラと名乗る謎の牧師はリュシアンの弱い
心を見透かしたように彼を誘惑する。リュシアンは牧師がちら
りと見せた金貨の山に目が眩み、悪の匂いに気づきながらも、
この牧師について行く。リュシアンがその後辿った運命は「遊
女盛衰記」に語り継がれてゆく。
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8 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 俗物力 その2, 2005/11/25
By 
ちょろ (群馬県 前橋市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 幻滅―メディア戦記〈下〉 (バルザック「人間喜劇」セレクション) (単行本)
 良書をクサしても、次はヨイショして、最後に元に戻せば、それでやましいことはない。3回分の原稿料も手に入る。二百年後の今日なれば、いかなジャーナリズムと雖も、そりゃないでしょう、と思いきや・・・!

 折も折、数日前、『マスコミに入る。』とかいう本の広告にいわく「人の心を動かす醍醐味 だから面白い」のだそうな。同じネタで3回のいじましさこそ減じても、傲慢は持病とみえる。

 さて、ジャーナリスト稼業に味をしめた我らがケーハク君は、当然、易きに付き、社交界に翻弄され、遊興に溺れて急坂を転落の挙句・・・「えっ?!」

 俗物力でグイグイ進む話だが、田舎では主人公の身内の善良な人々、パリでは高潔な芸術家仲間、「セナークル」の友人たちの存在が、一服の解毒剤になっている。

 また、事業の失敗で借金にまみれた作家だけに、金銭の話は細部まで生々しい。数字や経済に明るければ、更に楽しめる描写だろう。

 物語が、例によって驚愕の結末になだれ込んだ後に、メディアという怪物の恐ろしさを改めて考えさせる作品である。
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9 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 「失敗は成功のもと」は本当か?, 2007/1/24
レビュー対象商品: 幻滅―メディア戦記〈下〉 (バルザック「人間喜劇」セレクション) (単行本)
わたしはリュシアンが大嫌いだ 幼稚で 隙だらけで 無思慮 解説に彼は受身だから成功しないとあるが わたしは彼の敗因は人や状況を見抜く勘が鈍すぎること 丸めこむ話術が身についていないこと
軽蔑されるか反感を買うかの喋り方 手紙の書き方をするからだと思う 学校で成績上位でなかった
自身の体験から書くバルザックだがエリートを凡人にしかとらえられない 視野の狭い 可能性のたかが知れた人生論という失敗作ではない 劇的で(悪)知恵にあふれ興味深く学べる 利害関係と行動原則は的確に何通りも論じている 法学部の講義は途中で出なくなったバルザックだが人間や社会を悟るのに論理や知識や技術は あまり必要ないのだろうか 
三島由紀夫ほど緻密でないが多くの日本人(ノンフィクション)作家に例を見ない 動機をさらりと知らせ 手口が台詞となり 原動力が重厚な文体で赤裸々にあばかれる
裏切られた後はリュシアンもエーヴも最も衝撃的に深刻に傷つけてやろうと言葉を選び抜くダルテス 
金持ちなのに息子を救わない老セシャール  エーヴの一家を踏みにじる商売仇たち バルザックが書く心は極寒だ それでも成功者と失敗者の双方向から書き 人間性と社会性がつくりだす絆と破局 情勢でなく個人に起因する勝因 敗因を包括的に挙げた名作である
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