「幻景の明治」。それは、明治という時代の歴史の裏通りです。
作者は、「あとがき」で語ります。「かたち」は、「かた」と「ち」に分かれるのだと。即ち、「かたち」は体制であり、「ち」は「生命の根源的なエネルギー」です。明治という時代は、「ち」が非常に活発な時代だったのだと言います。それは、「ええじゃないか」から「自由民権運動」へと流れて行きます。
それらのもっと底流で表れたものを作者は取り上げて行きます。その典型が、「高橋お伝と絹の道」であり、「嗚呼 世は夢か幻か−野口男三郎事件顛末」です。こうした「事件」の裏側に流れているエネルギーを見事に描き出して行きます。
かなりしっかりした本ですので、熟読を必要とされます。いつか、私も読み直さなければと思います。