タイトルに惹かれて一気に読みました。残念ながら期待水準が高かったのか、物足りない
内容でした。
「この世が幻想である」ことは、般若心経の「色即是空・空即是色」といった経文や、
20世紀の物理学が到達した科学の成果からも容易に推察できることで、特に新しい
テーマではありません。
問題は、幻想の世界をどのように見つめ直し、新たな「寂しくない」境地に進むか、と
いうことです。一応の説明はありますが、肝心のこの部分が物足りない。どうせ哲学者
の名前を出すのなら、カントもいいが、ニーチェやヘーゲルに言及してもらわないと
本質的に面白くありません。また、自動車の話で、ベンツよりもロールスロイス、だとか、
テレビのバラエティ番組に対する批判など、枝葉末節のどうでもいい話も多く、紙面を
無駄遣いしているとしか思えません。
そんな無駄を省いて、時間とは何かについて、もっと詳しく語ってほしいと思いました。
過去も現在も未来も同時に存在し、時間は流れていない、という話は、「この世は幻想で
ある」というテーマ以上に馴染まない難解な話です。例えば、三葉虫やアンモナイトや
ティラノサウルスやマンモス等が、我々の隣で元気に生きている姿は想像できない相談で
す。しかし、面白いテーマです。歴史が現在の中に生きているのですから。
次回は、「時間は流れていない」というテーマで詳しい説明を希望する次第です。