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35 人中、31人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
文芸大作が輪廻してカルト作品に,
By 真木 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 幻の湖 [DVD] (DVD)
この映画は本当に幻となった映画です。この機会を逃したら一生見ることが出来ないだろう、と意を決してこのDVDを買いました。164分の長尺なのでこれまた意を決して見たのですが、方々で散々な評価を受けている割には結構面白いです。同じ時期『月光仮面』の様に壮絶な興行的失敗をした映画は多いのに、なぜこの映画だけ取り沙汰され、そしてどうして封印されてしまったのでしょう。犬をテーマの1つにしているのは『キタキツネ物語』の成功を追っている?(『黄金の犬』の後追いかもしれない)無理矢理な観のある時代劇とSF、国際的陰謀の合体は、類推するに1980年の日本2大ヒット作、『影武者』と『復活の日』から来ているものなのでは? この映画の最大の魅力は「走る」というシンプルな行為のエクスタシーにあるのですが、ひょっとしてそれすらも『炎のランナー』のいただきだという疑念があります。 ヒットする要素をごった煮的に盛り込んでも上手く昇華しないと破綻するのは当然なのですが、監督・原作・脚本の橋本忍に対するブレーキを誰もかけられなかったかのように見えます。東宝創立50周年記念映画という看板が、『八甲田山』の日本映画興行配収歴代1位という実績が、何かを狂わせてしまったのか。そもそもこの映画以上にどうしようもない邦画の大作はこの時期いっぱいあるのですが、角川的大量宣伝によって興行成績は維持されていた訳で、橋本プロ側が東宝にバックアップしてもらえるだけの何かが欠けていたものと思うのです。 カルトな興味で復活した今回のDVD化かも知れません(東宝は商魂たくましい!)が、なかなかどうして、出来映えは良いですよ。琵琶湖の四季の光景は絶品。主演の南條玲子は一般公募の素人ですが、でもその素の部分が私には新鮮に見えます。ランナーズハイのようなゆるい心地よさにひたることの出来る、一風変わった知られざる大作です。
7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
もちろん満点ですよ,
By かにぬー (北海道) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 幻の湖 [DVD] (DVD)
監督・脚本は、黒澤明作品の名脚本家であり、日本が誇る橋本忍(羅生門・生きる・七人の侍等の黒澤作品+白い巨塔、砂の器、八甲田山...)。 キャストも超豪華で、長谷川初範、かたせ梨乃、北大路欣也、村田日出男、星野知子、関根恵子....。 東宝50周年記念作品でなおかつ、「砂の器」「八甲田山」に続く第3弾として、名作となるはずでした。(1982年作品) しかしながら、ジャンルを観ていただいても全く想像できないほどの怪作・迷作となっております。 あまりの内容のすごさによる客足の少なさから、上映は2週で打ち切られ、 日本屈指の名脚本家の橋本忍氏はその後実質の引退状態にさせられました。 その後もTV放映無し、ソフト化もされませんでしたが、約20年後の2003年に奇跡的に封印が解かれDVDが発売されました。 実は私、当時この映画を観たことがある非常にレアな人間です。何故これを観ようと思ったのかは定かではありません。 しかし、その時の印象が非常に強く、今回レンタルして再見したところあまりのインパクトのため、 いつでも観たい時に観られるようにDVDを購入してしまいました。 興味を持たれた方は、まずはレンタルしてみてはいかがでしょうか? 人によっては2時間44分の苦行になります。時間の無駄・お金の無駄にもなるかもしれませんが、責任は持てません。
36 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
二十一年の歳月を経て、ようやく再会出来ました。,
By 海帆紺瞳 (奈良県奈良市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 幻の湖 [DVD] (DVD)
思い出深い作品です。初めて見たのは封切日の1982年9月11日でした。「人間はなぜ幻の明日を追い、ただひたすら今日を走りつづけるのか――」 人間にとって極めて大切な永遠の命題とも言える、しかし余りに遠大で茫漠としたそのテーマを、映像の上で描き出すことの難しさを教えてくれた作品でもあります。客席で漏らされる失笑というものの残酷さと不作法さを、観客の一人という立場から思い知らされた作品でもあります。まだ邦人が誰一人として宇宙に旅立っていなかった当時、SF作品でもない邦画にスペースシャトルで宇宙へ飛び立つ日本人を登場させることの難しさを悟らせてくれた作品でもあります。様々な意味で、今なお深く心に残る日本映画の一つです。 洋画『タイタニック』を見て、「身をもってテーマを完結させた作品を見たのは、『幻の湖』以来」だと漏らした時、「どんな映画? 何かロマンチックな題ね」と、興味を示してくれた知人に、映画パンフと小説化された単行本とサントラ盤のLPを貸してあげることしか出来ませんでした。私の知る限りでは一度もTV放映されておらず、ビデオも発売されていなかった為に、映像の形でこの作品を紹介することが不可能だったのです。 新聞広告を見てすぐ予約を入れ、発売日に無事入手出来ました。見るのは実に21年ぶりなのに、どの場面も不思議な位によく覚えています。四季折々に移ろう琵琶湖畔の風景の比類ない美しさ、リストの前奏曲をモチーフにした芥川也寸志さんの壮麗な音楽、それらを背景に走り続ける道子とシロの姿に、ふっと自分が重なる瞬間……私もまた、今なお幻の明日を追って夢中で今日を走り続けている一人なのだと、再認識する思いがしました。 NHKの朝の連続テレビ小説で、ヒロインが宇宙飛行士を目指す作品さえ当たり前に作られるようになった現在であれば、この作品の評価もまた変わって来るかも知れません。
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