『飢えている。飢えながらさまよっている。こちらへ向けて開いている手の平が掴もうとしているものはいったい何であろうか。求めれば求めるほどに逃げていくものだけがこの男の飢えを満たすのだ。(中略)
串田アキラ。この名は我々にとって特別なものになった。ディープ・ソウルを歌謡曲で成し遂げた男である。』
―――湯浅学(CDライナーより)
《宇宙刑事シリーズ》や『戦闘メカ・ザブングル』『キン肉マン』など、一連のヒーローソング(?)におけるパワフルかつソウルフルな熱唱ぶりで知られる串田アキラが、NHK『ステージ101』のレギュラー=ヤング101の一員としても活躍していたその若き日、東芝に残したソロ音源を集成したもの。いわゆる《幻の名盤解放歌集》の1枚としてリリースされたわけだが、その、一連の因果でモンドなオムニバスもの(必聴のもの多数!)とは、やや世界が違っているようでもあり、ちょっとだけ切り離して考え、聴いた方がいいアルバムかもしれない。筒美京平作曲の「生きる限界/純愛の唄」、スティーヴィー・ワンダー「太陽のあたる場所」のカヴァー「旅」、ピコこと樋口康雄作曲の「愛の記憶」、そして、心やすらぐノスタルジックな自作曲「愛の夢」など、聴きどころ多数。もちろん、ライナーを熱筆している湯浅学らが強く推す「しあわせの限界/あやまち」は、どちらも堂々とした大名曲。のちに《宇宙刑事シリーズ》でも組むことになる山川啓介が作詞した歌も2曲あり、彼の歌声との相性のよさを実感させてくれたりもする。