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幸福論 第3部 (岩波文庫 青 638-5)
 
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幸福論 第3部 (岩波文庫 青 638-5) [文庫]

ヒルティ , 草間 平作 , 大和 邦太郎
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 文庫: 378ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1965/3/16)
  • ISBN-10: 400336385X
  • ISBN-13: 978-4003363850
  • 発売日: 1965/3/16
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ロビン トップ1000レビュアー
形式:文庫
 ヒルティの『幸福論』最終巻です。
 アランやラッセル、ショーペンハウアー、武者小路実篤、トルストイなど、『幸福論』名著群の中でも随一のボリュームを持つ本書。どうしても読了には時間がかかりますし、内容も深い思索を要求する高度なものですので、読むのにかなり骨は折れますが、それでも頑張って最後まで読んで良かった!!と心から思わせてくれる、素晴らしい作品でした。

 本巻は、「二種類の幸福」「信仰とは何か」「驚くべき導き」「『忍びうる者に勇気あり』」「<附>病人の救い」「現代の聖徒」「われらは何をなすべきか」「孫たちに幸いあれ」「より高きを目指して」の9つのテーマから成っています。
 ヒルティ自身は敬虔なキリスト教徒であり、自信と責任を持って本書でキリスト教を擁護し推奨しているのですが、同時に(本文を読んでいただかないと誤解を生む表現なので注意が必要ですが)その上で、「信じる宗教の種類は問わない」という極めて柔軟な発言もしているのが非常に印象的でした。そうした姿勢に、彼が本文中で信仰者の重要な心のあり方として述べている、孔子の中庸思想にも通ずるという、バランスの取れた「強固な信念と柔軟さを併せ持つ」態度が体現されていると感じます。この言葉は無宗教の方には理解しにくいかもしれませんが、宗教家には理解できる言葉です。私は、「真の宗教的寛容」とはこのようなバランスの上にしか成り立たないと理解しています。
 また、ヒルティは本文中でよく信仰上の体験について「このことは、経験しなければわからない」と述べますが、宗教というのは実際そうした「理解に経験を絶対的に必要とする」要素が必ずあるものだと私も思います。私は仏教徒ですが、経験から、これらの言葉には非常によく共感できます。
 そんなこんなで、こういう言い方は不謹慎かもしれませんが、一種「宗教者のあるある本」として「ああ〜ヒルさん(失礼)の言ってること超わかるう〜」とか「こういうことあるよね〜!辛いよね〜!」とか、所々ものすごい共感しながら読みました。そういう意味で私にとっては宗教者として生きる覚悟を改めて固めてくれる本であると同時に、癒しの本でもありました(笑)。

 ヒルティは著作を読めば読むほど、「この人と話をしてみたかったなあ」と思わせられる、常識的で温和で、かつ聡明で情熱を持った優れた人格の宗教者です。実現はかなり難しいことですが、宗教者がみなこのような人柄であれば、宗教に対する偏見や誤解は随分と減るだろうと思わせられます。しかもヒルティは、私の大好きなイギリスの桂冠詩人・テニスンを高く評価しているようで、本書中に何回もテニスンの詩文を引用するので、好感度が5割増。友達になりたかった・・とか思いました(勝手に)。
 ヒルティには遠く及びませんが、私も「強固な信念と柔軟さ」を身に付けた忍耐強い人間となれるよう、これからも日々精進努力していきたいと思います。 
 本作は『幸福論』の中でも宗教色の強い作品ですが、無宗教の方でも得るところは大きいのではと思います。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By じゃが〜 トップ500レビュアー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
 第3巻では、まず幸福とは神と共にあることなのだと断言し、そうあるための方法を述べている。外的な幸福(成功や富)は、これを失う恐怖を伴うため、真の幸福ではない。
 病気についても述べている。病気を転機として人生を見つめること、人の苦しみを知ることができること、治癒する際に幸福が味わえることから、病気や老衰ですら幸福となりうる。
 なすべき事として、自分が所属する国や民族のために悪と戦うこと、足るを知ること、人生の努めを果たすこと等を挙げている。また、幸福のためには虚栄心と貪欲を取り除き、心からの親切を自らが敬虔に感じ、他人に与えることが重要とも述べる。
 また、宗教を否定するイデオロギーに対しては断固として反対の立場を貫き、民主主義の成熟に期待を寄せている。
 最後に、魂の高みを目指し、利己心と享楽欲を捨て、神の言葉に従うことこそ幸福な生活への道であると述べている。そして死ぬまで精神的に高みを目指して前進を続けよと鼓舞する。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫|Amazonが確認した購入
 訳者は、あとがきで、「幸福論」三巻はまったく素晴らしい精神的「健康」の書と述べている。悩みや苦難に陥る時には、当該書を手に取り、耳を傾け、救いを求めることが出来るように思う。退屈することのない人生論であり、この第三部もキリスト教の信仰について学ぶことが出来る。外から見る信仰から、内なる信仰へと、どのように取り組むかが、要領よく述べられている。私は、「信じる者は進むが、信じない者はいつまでも止まる。信じるとは、意志をもて信じることであり、意志なく信じることはあり得ない」と概略理解した。

 当該巻は、キリスト教に固い信仰心をもつ著者の手堅い思想を述べたものと言えるが、そうした内なる宗教への興味と共に、信仰への過程で「精神」の健康、生きる勇気がどのように得られるかを学び、人間の救いを考える多くの貴重な示唆が得られる。

以下、いくつか、心に残る格言を引用してみよう。

・この世で得られる永続的な幸福は、たえず神のそば近くにあることと結びついた、同様に絶えまない有益な仕事にある。

・あなたの太陽はふたたび没せず、あなたの月はかけることがない。主がとこしえにあなたの光となり、あなたの悲しみの日が終わるからである。(イザヤ書)

・最もすぐれたキリスト信者の場合でさえ、自分の信仰について十分な自信が持てなくなり、かつて経験した魂の高揚をすべて空想―今日のいい方をすれば、自己暗示―だと解しかねない気分が、後年になってもなお、時おり現れることがある。

・この謎のような人生をのり切って行くには、おもな道はおよそ四つしかない。宿命論か、克己主義か、利己主義か、信仰かである。(中略)第一の道はひとを鈍感にし、第二の道は冷酷にし、第三の道は邪悪にする。ただ第四の道だけが、この世で可能なかぎりひとを善良にし、かつ幸福にする。

・夜半や朝に目覚めたとき、まずひとりでに思い浮かぶこと、それがその人自身の信仰である。

・それ故、心の喜ばしさは、つねに信仰のまことの証明である。

・信仰とは、神に対する従順を本体とする、理想的生活への勇気である。

・善人の苦しみを是認するためにいいうる最も簡単で正しい言葉は、善人が苦しみによってさらにすぐれた者となる、ということである。

・苦しみは人間を強くするか、それともうち砕くかである。その人が自分のうちに持っている素質に応じて、どちらかになる。幸福なときには、苦しみにどれだけ耐えうるか、かいもく自信がない。苦しんで初めて自分を知るのである。

・この世の中で最も健康な生活は、清らかな心とすぐれた思想を持ち、たえず有益な仕事をしながら単純な生活を送ることである。ほかのどんな健康維持法も、効果の点でこれに及ぶものはない。老齢によって生命力は衰える場合でさえ、いぜんとして絶えず増してゆく霊的な力は、その老年期をもほとんど気づかぬうちに越えて、ついに新しい生命に入るまで、ひとを高めて行くのである。

・あらゆる休養のうちで最もよいのは眠りである。

・睡眠や日曜日の休養とならんで−いかにも逆説めいて聞えるが−仕事(つまり仕事中の気分の転換)が最上の休養である。

・キリスト教はその本性や意図からいって、最もひろやかな思想をもつ雄大な人生観である。

・しかしその上は、絶えず前方を見るように心掛けて、後ろを振り返ってはいけない。年をとって過去を振り返ることは、ただ、他人にとって煩わしく、自分自身にとっては悲しみのたねとなるだけである。
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