タイトルは幸福の研究ですが、原題は「Politics of Happiness」。
幸福の政治、つまり国民の幸福度を高めるための政治課題を示した本です。
著者は元ハーバード大学の学長で、著名な法学者。
もちろん内容はアメリカ社会を軸に語られますが、日本の状況とも良く似ています。
奇しくもこの本を読んだ日、「内閣府が132の指標で国民の幸福度を計る」というニュースが流れました。
「引きこもりの数」や「人並み感」などが指標になるらしいです。
このように先進国では国民の幸福を分析する研究が盛んに行われているようです。
この本では「そもそもそんな研究が必要か」「幸福の研究なんて可能なのか」も論じられています。
著者は幸福研究の意義について興味深い指摘をしています。
「何が自分に持続的な幸福をもたらすのかを、必ずしも人々はわかっていない」
たとえば経済的充足は幸福研究によれば決して幸せに直結するものでなく、
幸福の象徴ともいえる結婚ですら、その幸福は一時的なものに過ぎないようです。
では何が持続的な幸福をもたらすかといえば、
社会奉仕(につながる労働)だったり、政治の質だったり、豊かな教養だったり。
それは翻って、ネオリベに突き進むアメリカ社会への痛烈な警鐘になっています。
個人的に「うそっ!」と驚いたのは、幸福水準の80パーセントまでが、
実は遺伝的に決まっているという研究結果がある。という話でした。
総じていいますと、幸福という抽象的なテーマのせいか回りくどい、堂々巡りの議論も多いです。
「結局、あんたは何が言いたいの?」と突っ込みたくなる箇所もたくさんありますが、
今みたく幸福感が得にくい時代だからこそ、あえて目を向けてみる価値はあるのかもしれません。