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幸福について―人生論 (新潮文庫)
 
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幸福について―人生論 (新潮文庫) [文庫]

ショーペンハウアー , 橋本 文夫
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (17件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 文庫: 365ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (1958/10)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4102033017
  • ISBN-13: 978-4102033012
  • 発売日: 1958/10
  • 商品の寸法: 15.4 x 11 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (17件のカスタマーレビュー)
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92 人中、80人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By sanny6
形式:文庫
訳者の言葉(裏表紙)「幸福は人間の一大迷妄である。蜃気楼である。だがそうは悟れるものでない。この悟れない人間を悟れないままに、幸福の夢を追わせつつ、救済しようというのである。人生はこの意味で、そのまま喜劇である。戯画である。ユーモアである。したがってこれを導く人生論も諷刺的、ユーモア的にならざるをえない。本書は厭世哲学者といわれる著者が、豊富な引用文と平明な表現で人生の意義を説き幸福を教える名随筆『処世術箴言』の全訳である。」

 この本の小ささからは想像も出来ないほど内容が詰まっています。特に第四章の「人の与える印象について」と、第五章の「訓話と金言」は是非読んでみてください。

 第四章は人の目を気にしがちな人にお勧めです。(と言っても気にしない人は少ないと思いますが)日々、私たちは多くの人の中で生活する中で、他人の目に映る自己を構築し、一喜一憂していることが多々あります。しかし、果たしてこの事に意味があるのか?この決断は精神の貴族への第一歩だと思います。

 第五章は正に処世術に関する箴言です。様々な状況における処世術を53のエッセイの形で書いてあります。赤線を引きながら読むことをお勧めします。

 この本を何度も何度も読み、赤線を引っ張り、本がボロボロになるにつれ、あなたの人生の大切な宝物になるはずです。ちょっと言いすぎましたが・・・難しい所もありますが、全体的に読みやすい文章です。原型である文も良いのでしょうが、訳者である 橋本文夫さんの訳も素晴らしいと思います。読ませる文章です。老若男女に勧めたい本です。

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44 人中、36人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
独特の論調 2011/1/17
By ロビン トップ1000レビュアー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
 ニーチェやトーマス・マンらが影響を受けたドイツの哲学者、アルトゥール・ショーペンハウアーの幸福論です。
 『幸福論』という表題の作品はこれまでに、アラン、ラッセル、ヒルティのものを読みましたが、本作はそれらの中でも非常に独特の世界を持っていて、最も癖のある哲学に基づいているものだと感じました。 
 他のレヴュアーさんも書いておられますが、本作で述べられる哲学はポジティヴなものではありませんし、主張もやや独断的で、極端なきらいが見受けられます。詩的というより散文的であり、テイスト的には、箴言家として有名なラ・ロフシュコーの作風と近いかもしれません(ロフシュコーは性格的には熱血漢ですが)。人間の本性に対する描写の辛さ加減は、イギリスの文豪サマセット・モーム並(激辛)です。

 夏目漱石が『草枕』の中で、「智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る」と言っていますが、この本を読んだ限りでは、ショーペンハウアーの哲学には画や詩のない人生みたいに悲惨なところがある(汗)という印象を受けました。そうした創作の幸福については、本書の中でショーペンハウアーも認めてはいるのですが、それらは才能のある人間に限られた幸福と定義しており、自分のような平凡な一般庶民はハブられているような書き方なので、どっちみち悲惨です。
 しかし、哲学が「知っていると思い込んでいる事柄に揺さぶりをかける」ものであるとすれば、そうした機能は間違いなく持っている作品ですし、思考の基礎力の備わっている方には良い思索の材料となる本だと言えると思います。ヨーロッパの騎士道を風刺するくだりは、現代の東洋人が読んでも余りにピンとこない上に冗長で、読んでいてちょっと草臥れますが。

 著者は、ストア派の哲学や仏教の無常観を基調として、基本的には「この世界は苦に満ちた世界」であると捉え(全ての仏教がそう捉えるわけではありません。例えば法華経では、人生は「衆生所遊楽」−つまり遊楽するためのものであると説いています)、「基本的に生きることは苦なんだけれども、その上でどうしたら少しは人生が耐えやすくなるか」を、様々な例を挙げて本書で述べています。
「事物の客観的・現実的なあり方がわれわれを幸福にしたり不幸にしたりするのではなく、われわれに対する事物のあり方、われわれの見方に映じた事物のあり方が、われわれを幸福にしたり不幸にしたりするのである」という言葉が象徴的に示すように、ショーペンハウアーの人生への対処法は、基本的には自分の心の感じ方をコントロールしていく事と言えると思います。これはアランやヒルティをはじめ多くの賢人が教えるところでもありますし、非常に有益な教えだと思います。ただ、彼らと違いショーペンハウアーの哲学には人間の善性や個人の能力差(「賢者とばか」「精神的貴族とぼんくら」等と表現される)に対しての強い不信感と諦念があり、「他者を尊敬し、他者に奉仕すること」を幸福に至る道と見ません。宗教性を排する哲学の辛いところなのかも知れません。
 暴慢だったアショーカ王が戦争の災禍と悲惨を見て平和主義者になったように、「精神的庶民」が成長して「精神的貴族」になるということもあるわけですから、もう少し人間の可能性に言及してもいいのではと思います(まあ、権力を手に入れて逆に退化した例・サウル王とか・が更に多いと言われるかもですが)。
 本作中でスイスの大教育者ペスタロッチにも言及されますが、それも「たとえペスタロッチであっても、人間の生まれ付いての精神的優劣はどうしようもない」と断じた文脈です。しかしヘレン・ケラーだって、サリバン先生がいなかったら人生が変わっていたでしょうし、優れた教育者との出会いが人間を良い方に変えることも決して少なくはない、真の教育には人間に良い影響を与える力がある、と私は信じます。
 「同胞である人間を正しく認識するのは大切だが、その上でもし人間を軽蔑してしまったら、人生は地獄である」ということ−高い知性に恵まれれば恵まれるほど、人間の醜さや業の深さも鮮明に見えてしまうのでしょうが、「知性」に釣り合った「愛」を伴わない時人生は実に悲惨である、ということをしみじみ思わせられました。
 が、後半(第5章)の「訓話と金言」は読みやすく、また「人生において知恵に次いで重要なものは勇気である」という言葉と、それに続く鼓舞激励の一節には感銘を受けました。
 
 私はショーペンハウアーの哲学や生涯については詳しくありませんので、一面的な浅い理解になっているところはあると思います。この感想はあくまで本書を一読してのものです。
 
 全体的に、この事柄について真剣に突き詰めようという空気がなく、ある意味生きることに余裕のある贅沢な人間の哲学という印象ではあり、かつペシミスティックな作品なので、読了後「よーし、いい本読んだな〜!明日からまた皆と仲良く、明るく元気に頑張ろーうッ☆」とはならないところがあるかと思います(笑)。もし『幸福論』という本を本書しか読まれていない方がいらっしゃったら、ポジティヴ思考補給のためにヒルティかアランの『幸福論』と併読されることを個人的にはお勧めいたします。 

 
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36 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Tod
形式:文庫
 ショーペンハウアーは十九世紀のドイツの哲学者であり『意志と表象としての世界』という浩瀚な哲学書も残している。だが彼の名を世に知らしめたのは『パルエルガ・ウント・パラリポメナ』と題された数々の随想集であった。本書はその中の最大編「処世術箴言(生活の知恵のためのアフォリズム)」の全訳であり、名文家ショーペンハウアーの魅力を余すところなく伝える好著となっている。
 ショーペンハウアーは人生の価値を「人のあり方」「人の有するもの」「人の与える印象」の三つに分け、「人のあり方」に絶対的な価値を置く。「大抵の人が自己の本質そのものよりも、他人の頭脳に映じた自己の本質の映像にむしろ関心をもっている」という皮肉は、現代社会でも充分通用するであろう。そして他人の目を気にしない自己が行き着く場所は必然的に孤独の境地となる。「早くから孤独になじみ、まして孤独を愛するところまできた人は、金鉱を手に入れたようなものだ」とショーペンハウアーは言う。
 主著『意志と表象としての世界』で「意志の否定」を説いたショーペンハウアーが、あるはずのない幸福を求めて人生訓を語っている。妥協の産物に過ぎない本書を鵜呑みにしないよう注意する必要はあるが、決して嘘が書かれているわけではなく、特に「第五章 訓話と金言」はうなずかされることしきりである。
 リズム感あふれる翻訳も素晴らしく、全集版よりもはるかに読みやすい。ショーペンハウアー入門として恰好の書であり、興味を持った読者の手が主著『意志と表象としての世界』へと伸びることを期待したい。
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