ある日突然、自分のパートナーが不幸に見舞われ以前の生活が困難になる、ということは誰しも起こりうることだと思います。
そうなってはじめて気づかされる、なにげない日常の尊さやふたりで暮らすことの意味。自分にはどんなケアができるのか、あるいはふたりでこれからどんな人生を築いてくのか。
そういった、シンプルだけれど人として大事なことについて考える機会をあたえてくれる素敵な本だと思いました。
なにより私が感銘したのは、パンという素朴な食べ物が本来持つ暖かかさ。
素材選びから生地づくり、発酵から焼きあがってお客さんの元へ運ばれるまでの行程が、まるでひとつの旅のようです。そして、それらに真心をこめて携わる笑顔のお二人を想像すると、こちらまで嬉しくなってしまいました。
困難への立ち向かい方はひとそれぞれだし、私にはいざというとき作者の総子さんのようなバイタリティのあるケアはできないかもしれません。だけど本書によって、自分のスタイルでパートナーを支えていくことならできるような気になれました。
なにより、どんな悲しい現実に出会っても楽しみながら生活を彩ることに前向きなお二人の人柄に、たくさんの勇気をもらいました。
未婚の方、既婚の方どちらにもお薦めですよ。