ブランキーを便宜上、各タームで分けるとするとこのアルバムは第一期(文学期)の
終焉にふさわしい作品と言える。ちなみに第二期は文学色をあえて払拭し、轟音・
爆音路線の音の力を重視した路線にシフトしていったと言える。
タイトルからして「幸せの鐘が鳴り響き僕はただ悲しいふりをする」である。
浅井健一の世界を最も端的に表しているのではないだろうか。
轟音で爆音でロッキンな曲が好きなブランキーファンには「地味ー」などと
揶揄され、ライブでもあまり演奏される曲が少なかったのですが、このアルバムは
「BANG!」と並ぶブランキーの名盤の一枚である。
タワー・オブ・パワーを起用した一曲目から試行錯誤の様子が窺え、全編を抑揚の
ある曲が並ぶ。中でも白眉はタイトル曲のM-8。「MOTHER」「ディズニーランドへ」
「悪いひとたち」「鉄の月」などの人間の暗部と闇を暴いた曲を更に深化させ、
とどめの一撃を加えたような一曲である。
「平和の鳩が小さな子どもを埋め尽くした もがき苦しむ子どもは窒息寸前
慌てた母親 バッドを振り回す 気をつけな 動物愛護団体が手錠を
ジャラジャラ揺らしながらバスを走らせる」
「誰か僕を傷つけてくれないか もう二度と立ち上がれなくなるほど強く」
浅井健一が抱える世界への違和感とその違和感を感じる自分自身にも自虐的
では無く、容赦の無い批判を与える。
リリース当時、文芸評論家の福田和也が「日本のあらゆる文学や洋楽の歌詞
などと比べても格段に素晴らしい」と行った趣旨の内容で、「宝島30」誌上で
賛辞を与えていた。