日本学術会議が、中学生にも分かる学術入門書を岩波ジュニア新書のサブシリーズとして出し始めた。査読付きという。本格的なのである。その一冊『幸せのための経済学』(蓼沼宏一)を読んだ。
最近話題になる「幸福度」が経済学ではどう扱われるのかが分かる。はじめに昨年のチリ鉱山落盤事故を例として「幸せのための経済学」を説き起こしたのはよかった。従来の「供給と消費の経済学」では解けないからだ。
これからの社会が必要とする経済学は、その従来型とは違うのだと宣言するのに本書は効果的である。日本での「3・11」にも言及し、いかに「安定した社会基盤」が市場メカニズムの発揮に必要かという例に使っている。
専門用語も使用しているため、普通の中学生が持つ知識で間に合うのかは疑問。しかし、著者は必要な説明を加えているから、まずは中、高校の教師がこのシリーズを受容し、授業、自主研究で指導できるように備えてほしいと思う。
このレビューで「知の航海シリーズ」を評するつもりはない。愚生自身の興味から一冊を読んでの感想を「祝」として贈る。