本書は「原因と結果の法則」で有名なジェームズ・アレン
の集大成ともいうべき本である。
アレンはこの中で、物事を始める時に最初にすべきことは
設計図を心に思い描くことであると説いている。ちょうど
家を建てる時に設計図を書いてから着工するように。
そうして正しいやり方をすることで人生は幸福にまたは
成功することができると主張している。
そして最後には原因と結果の法則を説いており、あらゆる
出来事は全て自分が思った内容、行った事柄の結果である
と言っているのである。そもそもこの原因と結果の法則は
仏教でいう縁起の理法に他ならない。
厳密に言えば、縁起の理法はこの世だけでは完結していない
理論である。善因善果、悪因悪果というが人生では必ずしも
いいことをした人がいい結果を生むとは限らない。悪人が
栄えることも現実には多々あることである。
この世の理論だけで考えると因果律は成り立たないようにも
思えるが、死んでからあの世があり、天国も地獄もあることで
始めて完結する理論なのである。つまり悪人が栄えても死後地獄に
行くことではじめて因果律が完結するという訳である。その逆に
善人が報われない場合もしかりである。死後天国に行くことで
帳尻が合うからである。
そういう意味では、ジェームズ・アレンの原因と結果の法則
は仏教の縁起の理法とは違っている。アレンの理論はあくまで
この世で完結するようになっているからである。それはともかく
アレンの思想は欧米の成功論の原点と言ってもいいものである。
ナポレオン・ヒルやジョセフ・マーフィーなどあらゆる成功哲学
の源流がアレンであると言っていいだろう。近年流行った引き寄せの
法則もこの系統にある。
これだけの思想的影響を100年以上にもわたり与えてきた人物は
あまりいないのではないだろうか。
本書は非常に分かりやすく簡潔に書かれた文章だが、その内容には
かなり深いものがある。折に触れて読み返したい良書である。