こういった類の書籍は殆んど興味がなかったが、(1)相応の学歴を有し、様々な選択肢があったにもかかわらず、なぜ今の生き方を選んだのか興味があったこと、(2)様々な人の生き方や価値観を覗いてみたかったこと、(3)限られた収入で豊かに暮らすことは、これからの時代ますます重要になってくること、などから手にとった次第
節約生活術にはあまり興味が沸かなかったし、この部分については他のレビューを参考にして頂きたいと思うが、要は住居費や国民保険料などの固定費を除いた変動費を年間36万円(月平均3万円)以内に抑えるというものであり、そのための料理レシピなどが数多く紹介されている。無尽蔵に時間があるので手間隙かければやっていけるのかもしれないが、個人的にはあまり参考にならず。
一方、20年間無職を生活続けていることからみえてくる生き方や価値観は共感できる部分があった。
また、お金を掛けずに豊かに生活するこという制約にチャレンジすることにより、創造力や発想力が豊かになるのではないか。
我々はこれまで豊かに暮らすということを真剣に考えてきただろうか。マスメディアや世間が作り上げてきた価値観や豊かさにに流されてきたことはなかっただろうか。自分なりの豊かさを探求することは、己の生き方を見つめ直す一つのきっかけになるかもしれない。したがって、本当に必要なことは節約術ではなく、自分はどう生きたいかといった人生哲学だと思う。
他人と異なる生き方を選ぶには、自分を納得させるための哲学や価値観が必要であり、時にはそれが自己弁護のように聞こえてしまい、共感できないことも多いのだが、著者の場合はわりと腹に落ちるものがあった。
著者は、「他人には理解してもらおうと思っていなし、説明しても分かってもらえないと諦めている」とした上で、いくつか気にとまった考えを紹介しておきます。
・今の世界に蔓延している「勝ち組か負け組みか」、「善(正義)か悪か」、「成功か失敗か」、「正しいか間違いか」、「上か下か」というように世界を二色に分け、それだけで人間の価値を評価してしまうような二次元的世界観とはおさらばしてしまった。したがって、こうした発想で自分の考えや行動に価値判断を下し、己の人生を縛り上げることはやめてしまった。(P203)
・30歳という働き盛りで社会との距離をとりはじめた僕でも、生きていくためには知恵を絞らなければならない。その過程で、「人が生きるために必要なものはそれほどたくさんはないし、知恵と考え方次第で人生いくらでも楽しめるものだ」ということを知ったことが、ささやかな収穫である。
・社会の状況が思わしくないならば、あとは自分の心を変えるしかない。自分を取り巻く環境など、他の窓から眺めれば、いかようにも違って見える。要は、ものは見よう考えよう。自分の意志の力で確実に変えられるものは、自分の心だけ。
・何に贅沢を感じるかは、人によって違うのが当たりまえ。なにも自分の幸福や健康をないがしろにしてまで、社会の常識や価値観をそのまま受け入れる必要はない。
・さらに言えば、社会の常識や価値観なんて利用するもので、縛られたり、踊らされたりするものじゃないと思っている。もちろん、社会の常識や価値観は尊重する。批判もしない。だが、自分がそれに従うかどうかは自分で決める。そして、そのリスクは甘んじて受け止めろということ。
気軽に手にした書籍だったが、最後の方は考えさせられることもあった。