社会科学系の研究者(経済学者)としての視点からレビューさせて頂きます。
瀬戸内海に浮かぶユートピア「鷹の島」で生まれ育った主人公の芦田耕太郎の身に起こる様々な出来事を通じて、社会・平等・人々の心理やインセンティブについて考えさせられる壮大な小説です。収入が平等に分配され、仕事も抽選によって4年ごとに交代、全ての集団的意思決定は直接投票による(単純)多数決で行われるこの架空の島で、「どのような感情/思考パターンを持つような人間(達)が生まれ」(=社会心理学)、「どういった制度疲弊が起こるのか」(=経済学)を非常に活き活きと描き出している点が素晴らしいです。学者の(上から目線の?)解説よりも、遥かに実感を持って、社会や平等について考えるビジョンを与えてくれるのではないでしょうか? もちろん、意外な展開もきちんと用意されており、小説としても十分に楽しめる作品に仕上がっていますので、一般の方にもオススメです!(実際、ドラマ化でもしたらかなりウケるのではないかと思ってみたり。。。)