脚本家の成井豊さんがこの作品で「アタッシュケースから物をスリとる」というシーンを舞台で再現したいと思い、2006年に『少年ラヂオ』という舞台が作られました。舞台での役者の動きが本当に驚くべきものでしたので、この小説に興味を持ちようやく読むことができました。
スウガクは実は頭が良くないなぁ……とか、キクチはどうしてこのチームにいるの? とか、スリの目的がなぁ……とか、ちさと婆さんを○○しておいて高校生を見逃すヤクザって……とか、ラストが安直だよなぁ……とか…………ツッコミどころはたくさんあるんだけど。
でも、とても疾走感のある良作です。スリという犯罪行為が本当に魔法のように、匠の技術のように表現され、まさにその瞬間は空間が歪んでノムラ君の指だけが通常の時間を刻んでいく光景が目に浮かびます。
3人が必死に「何か」見えないものを掴もうと必死に走っている感じが読んでいる間中浮かんでいました。読み始めると一気に最後まで読む側もつい走ってしまいそうなそんな作品です。