『平成の巫女―「まごころ」をつぐ娘たち』です。カバーは白地に赤い文字、スピン(栞紐)も巫女の袴を思わせるきれいな緋色で、巫女衣装に準えたこだわりが感じられます。
中身はというと、あとがきにもあるように、ビジネスライターが書いた巫女の本。巫女に関する学術的な通史などではなく、愛宕神社、日枝神社、神田明神、富岡八幡宮の巫女にインタビューをして感じたままを素直に綴った、という感じです。現代の巫女に関する裏話的レア情報などを期待して本書を手に取る読者も多いかも知れませんが、そちら方面の期待にはあまり沿えられないでしょう。名刺を持っている巫女がわずかながら存在する、ということが分かるくらいです。
目次にあるように、巫女の仕事はどんなものなのか、著者はどうして巫女に興味を持ったのか、巫女になるにはどうしたらいいのか、などといった論点ごとに、四つの神社のインタビューに基づいて書かれています。なので、四つの神社の複数の巫女と著者自身へと、あちこちに話は飛ぶので読んでいて頭には入りにくかったです。逆に、巫女は巫女でも神職の資格を持つ人、社家出身の人、一般家庭出身の人、広告代理店でOL経験のある人などなど、様々な立場の人が出てくるので、インタビュー記事としては幅広いものとなっていると思います。
また、日本の伝統文化至高という結論が最初にありきの論調傾向が強いため、所々首を傾げるような箇所もありましたが、全体としてはその日本の伝統文化の良い部分「まごころ」が、巫女という存在に凝縮しているということを感じることができる良書だと思います。そもそも、アルバイトではない本職の巫女が常駐している神社自体が、日本全国にある神社の中でもほんのごく一部でしかないので、平成時代における巫女の生の声を収録したというのはそれだけでも価値のあるものとなったのではないでしょうか。
巻末に簡単な巫女用語集があります。評価は★4です。