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平家の群像 物語から史実へ (岩波新書)
 
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平家の群像 物語から史実へ (岩波新書) [新書]

高橋 昌明
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「賢人」重盛、暗愚な宗盛、「運命の語り部」知盛、こころ弱き人維盛―。それぞれ『平家物語』の描きだしたイメージでよく知られる平家の人びと。しかし「実像」はどうだったのか。当時の貴族社会や合戦の現実に目配りしつつ、人物それぞれの動きを丹念に追うことで、新たな「史実」が浮かびあがる。歴史研究の醍醐味を味わえる一書。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

高橋 昌明
1945年高知県に生まれる。1969年同志社大学大学院文学研究科修士課程修了。滋賀大学教育学部教授、神戸大学大学院人文学研究科教授を経て、神戸大学名誉教授。専攻は日本中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 225ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2009/10/21)
  • ISBN-10: 4004312124
  • ISBN-13: 978-4004312123
  • 発売日: 2009/10/21
  • 商品の寸法: 17.4 x 10.8 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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形式:新書
平家については、「平家にあらずんば人にあらず」といった夜郎自大で統治能力に欠けた「貴族化した武士集団」と言う知識で過ごしてきた。今回本書に接して、自分のそういった無知ぶりがいささか恥ずかしくなった。
本書は数々の古文書の資料批判を通して、学問的な水準を維持しながら、そこに現れてくる平家の公達たち一人一人を活き活きと描き出している。宮廷の位階官職や専門用語についても一般読者が判るように適切な解説を加えているのが嬉しい。
歴史の構造的部分にも力を入れている。武士社会を切り開いたのは、世上いわれているような源氏ではなく、実は平家であるとし、これに六波羅幕府という名称を与える。また平家王朝設立の企てもあったと書く。確かに平家には、藤原氏の「天皇の外戚」という役割を大きく越えるところがあった。さらに源氏の蜂起が短時間の内に全国に拡大したのは、単なる源平の争いを越えた、律令国家に対する全国規模の内乱であることを示唆する。
より興味深かったのは、頼朝の決起から平家滅亡までに5年かかったのは、その間3年におよぶ大飢饉があったこと、鎌倉幕府の成立の「画期」を頼朝が朝廷から東海・東山両道の行政権を認められた1183年としたこと、平氏が九州で勢力を盛り返したと類書に記される史実が、実は平氏は九州から追い出されたのであり、義仲と休戦協定を結ぼうとしてつかの間の小康状態を得ていたとする部分である。
書名が示すように、著者が最も力を入れているのは「平氏の群像」であり、その中心に惟盛と重衡をおく。二人とも思いがけない大任を担い、その末路は対照的であるが、どちらにも共感を覚える。その他、武士としての意地を貫き通した者、ひたすら右顧左眄した者など、公達だけでなく主要な御家人たち--私が特に興味深かったのは阿波民部太夫田口成良であるが--を網羅しているのも楽しい。平氏の群像は『平家物語』の不確かさを指摘されて一層、現代に活き活きと伝わってくるものがある。
小書ながら読み応え確かな良書である。
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形式:新書
 平清盛は,父忠盛の嫡妻(最も身分の高い妻)の子ではなかったが,白河院の落胤ということもあり,忠盛の嫡子(武家平家の代表)たる地位を獲得した。嫡妻の子は平頼盛であり,清盛との仲はよくなかったという。平家滅亡後,頼盛が源頼朝の庇護の下に生き延びたというのは不思議な気がしていたが,上記を知ると,なるほどと納得できる。
 清盛の長男・重盛も,清盛の嫡妻の子ではない。嫡妻(時子)の子は平宗盛・知盛・重衡らである。重盛死後は,時子の影響力もあり,宗盛が清盛の嫡子たる地位を承継した。
 重盛の長男・維盛も,やはり重盛の嫡妻の子ではない。より身分の高い嫡妻・妾妻の子である弟清経・(清経失脚後は)資盛が重盛の嫡子たる地位を得た。維盛も資盛も,重盛死後は平家の主流派から外されてしまった。維盛のような,清盛の長男(重盛)の長男という立場にある者が,一人平家集団から離れて那智の海で死んだというのも,やはり,上記を知ればなるほどと納得できるところである。
 平家物語を読んでも,平家が一枚岩ではないということは何となく伝わってくると思うが,本書は,そうした平家の複雑な人間関係を簡明に説明してくれる好著であった。
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 正義の味方 トップ500レビュアー
形式:新書
本書の質と量と価格に感動すら覚える。但し限られた頁数に詳細な記述であるから、名前・関係の丹念な把握が必要で、勿論別個に家系図・相関図を座右に置きながら読まないと理解するのは大変だ。平家の政権、構成した家、一族の人々の実像、貴族化の実態、情念や葛藤に至るまで、平家物語との徹底した対比をした具体的な姿は興味深い。 そもそも平家物語は東国の資料を多く取り入れ、源氏武士の戦功譚を集積し、東国武士の勇猛さを強調した。 本書の興味深い点は、多くの異母兄弟姉妹の実像や、政略婚姻の状況、国家の意志決定と平家の関わりだ。平清盛の嫡妻の「時子」(1126年生れ、二位尼)は父が平時信(鳥羽院庁の判官代)、母は白河天皇第三皇女に仕える中級の召使女、時子の同母弟は「時忠」(1130年生れ)「平家一門にあらざるお人は・・」を言った輩だ。 異母兄弟は、「親宗」、「滋子」(後白河上皇の室、高倉天皇の母、建春門院)、「清子」(平宗盛の室)だ。「清盛」は様々な性格を持ち合わせた奔放な素地に、修養の努力が積み重なった結果の繁栄。時子と清盛の間の子は、宗盛、友盛、重衡、「徳子」(高倉天皇の中宮、安徳天皇の母、建礼門院)だ。 「宗盛」は1147年生れ、個人の能力有無でなく清盛嫡妻第一子が利いている。1179年重盛没後に嫡子継承、1181年清盛没後に時子を背景に一門の総帥に。叔母の滋子に密着したのが大きい。 「知盛」は武官中心の官歴、清盛が最も買っていたが、病があり(癲癇)、行動には生彩を欠き存在感は薄い。 「重衡」は天皇や後宮との関係深く、後宮に人気が高い。人柄が良く、開放的で屈託のない性格で、一軍を率いる将帥の器で力量に秀でていた。墨俣、水島、室山の合戦に全て参加。 「重盛」は1138年生れ、母が右近将監高階基章の娘、院の覚えは悪くなく人望もある。摂関家の血を引いている可能性あり。平治の乱では輝かしい功を上げた。1179年没。これら平家の群像イメージで大河ドラマと見比べたい。
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