いわゆる「歴史物」と言われるジャンルの本です。
ライトノベルでは日本の歴史物は少ないですね。何故なんでしょう。やはり、読者側が中途半端に歴史を知っていて、なおかつ中途半端に言葉が分かっていて、作者にしたらそれなりの知識が要求され、まさに「狙いが定まらない」。それならば、いっそ架空の国のファンタジー設定で堂々と現代日本語が使え、設定も好き勝手に書ける…という方が楽ですよね。
歴史物を堂々と書けるほどの実力があれば、一般文芸で書いている様な気もします。
前置きはここまでにして。
本作に漂う雰囲気は、時代背景が平安時代…ということだけではなく、ちょっと変わった雰囲気です。
では何が原因かというと、「とにかく美少年(美丈夫)大量出演」です。名前は、日本史や古典文芸のどこかで見た名前ばかりですが、とにかく美少年だらけでおまけに異能の人たちです。そう、まるで少女漫画の雰囲気。まず、この雰囲気がダメな人はダメでしょう。
また、安倍晴明は美女、おまけにその美少年達に「母上」と言われているという、これまた少女漫画風びっくり設定です。
また、よくあるラブコメラノベのような「男<女ハーレム」ではなく、「男>女の逆ハーレム」っぽいです。だって、多かれ少なかれみんな鬼の血を継ぐ少女=結鹿に気がある。そう、モテモテ。
全体的には、平安時代という背景の「説明」に忙しくて、あまり時代背景以外の作品の個性が出ていません。
逆に、一般的な読みやすさから言えば、敢えて当時の用語を大量に使わなくてもよかったのかもしれません。あと、いきなり大量の主要登場人物で、余計に難しさを加速させているような気もします。
上記を差し引いても、何かもう、登場人物の個性が薄いので感情移入が難しかったのは事実です。無理に詰め込みすぎず、当面の結鹿LOVEは鈴城と頼親だけで十分だったのではないかと思います。
同じく、詰め込みすぎによって、本筋で書きたかったことは何なのかが分散してしまったきらいがあります。「姫殺し」のことなのか、義兄弟のことなのか、はたまた結鹿と鈴城の「ほのかな恋」ことなのか…。
もう少しテーマを絞った方が面白かったような気がします。
まあ、何だかんだ言っても、これまでのものとは多少異質な作品なので、もうしばらく追っかけていきたいと思います。(続巻が出ればの話ですが…)