つい最近も平安神宮の紅枝垂れ桜を観てきました。紅枝垂れの天蓋のような姿は見る人を圧倒します。谷崎潤一郎が細雪でも書き、自身も愛したように、まさしく京都の春の極みのような景観が広がっています。愛してもやまない桜の姿は多くの人を魅了する魔力のようなものが潜んでいるように感じていますが。
平安神宮の神苑からは四季折々の風情が感じられ、ここは観光名所の一つでしょう。1894年の平安遷都1100年の造営ですから、京都に残る社寺仏閣の中では歴史の浅い建造物と庭園ですが、七代目の小川治兵衛の手になる近代庭園の代表作ゆえ、多くの観光客の目を楽しませてくれる景観と見どころを誇っています。
本書はそんな平安神宮の魅力の全てと四季の美しさを、京都を撮り続けてきた名写真家・水野克比古氏の技の冴えにより見事に浮き彫りにしています。
早春の東神苑の紅梅と雪、欄漫と称される八重紅枝垂桜の艶やかさ、西神苑の八ツ橋の花菖蒲、中神苑の睡蓮、秋の京都の代表的な行事の時代祭、応天門にかかる牡丹雪の景色など、名写真家の技術にかかるとより風格がますように思いました。見ているだけで溜息のでるような美しい写真の数々でした。四季折々の花の種類の多さにも感心しました。
解説は多くありません。序文に平安神宮宮司の九條道弘氏の言葉に創建の意味が書かれています。また最後にも少し水野克比古氏による説明が補足されています。
写真データは掲載してあります。全てポジを使用しており、デジタルではありません。全ページのコメントが欧文併記されていますので、海外から来られた人にも有用でしょう。