本書は通常の歴史書ではあまり触れられない男女の性愛の歴史について書かれた本だ。現在の男女不平等な性愛観は歴史的に形成されたものだと語る著者は、律令制などの影響で貴族層に「家=家父長制」が成立途上にあり、女性の役割が家の中に限定されつつあったという平安時代中期を舞台に、「今昔物語」などの文学作品を数多く引用して、当時の男女の出会いの方法から性愛観、結婚観などが今とかなり違っていたことをわかりやすく提示することによって、社会学的興味を喚起してくれる。まじめな書物ながら、当時の性器呼称なども書かれていたりして好奇心がそそられる面白い本だ。