内戦や紛争で荒れ果てた地域・国でどのように平和を構築し、定着させていくか。治安の悪化、支援や整備の遅れ、住民の不満、反政府活動や犯罪の増加、さらなる治安の悪化、という負の連鎖をどう断ち切っていくか。こうした問題は、現在世界中で非常に重要である。
本書は、もとNHKのディレクターだった著者が、アフガニスタンと東ティモールにおいて、インタビュー調査を行い、平和構築のあり方についてまとめたものである。全体は、平和構築研究の外観と著者の立場を示した理論的考察、アフガンの現状と分析、東ティモールの現状と分析、日本のあり方について考察する、という流れになっており、特にアフガンの調査と分析が中心である。著者はその際、「正統性」の確立、つまりどのようにして人々に信頼される政府を作っていくか、という視点から分析している。
アフガンや東ティモールは今どうなっているのだろうと思ったのが本書を読むきっかけの一つだったが、それらの国の実状と課題を端的に知ることができたし、詳細な調査に基づいて整理された記述は、好感が持て、すらすらと読むことが出来た。また、平和構築の理論的な考察も行われており、素人にも読みやすいと思う。アフガンの深刻な現状には気落ちする一方、本書の具体的な課題提起は希望を与えてくれる。新書としての性格にふさわしい、良書だと思う。