今度は、出版社の新人営業マン、井辻君が主人公。
やはり、本に関するミステリー仕立てで、大崎さんのこだわりが嬉しい。
書店を回る日々のなかで、井辻君が出会うちいさな謎が五編。
ちょっと理が勝ちすぎている感じの話もあったけれど、
私たちがよく知っていて、読んだ人も多いはずの本が実名で
たくさん出てくるのも楽しい。
各出版社の営業マンたちのキャラクターもとりどりで、井辻君が彼らに助けられたり
ハッパをかけられたりのやりとりも軽妙だ。
「平台がおまちかね」に出てくる二冊は実在しないようで、それだけに興味がそそられる。
「絵本の神さま」に描かれた書店の内情と、看板にまつわる人の思いには
心打たれた。
読みながら反省もしきり。
本は本屋さんで買いたいとは思うのだが、ついつい便利さにかまけて
ネット書店で購入してしまう私。
井辻君の趣味が、不思議なのだ。今作品では物語にうまくはまっていないけれど、
今後、きっちり絡んでくるのかもしれない。
(柴田よしきさんの『やってられない月曜日』などは、主人公の趣味がばっちり
ストーリーに入りこんでいて、すんなり理解できたけど。)
そして、成風堂シリーズのあの人が、ちらっと登場していて、
この先、もしかして……と期待しています。