「え、本当」「そうだったのか」という指摘のオンパレードで、一気読みの一冊でした。「大室寅之祐=明治天皇」説の真偽は評者には証明できる由もありませんが、この一書を読む限りではそれが歴史の真実なのではと考えざるを得ませんでした。(特に、276〜279頁の筆跡を見る限り、睦仁親王と「明治天皇」のそれとが全く別人のものであることは明らかではないのか。)
「南朝天皇の子孫は、ひそかに吉野を抜け、長州に落ち延び。それ以降は長州、毛利家の庇護の元にあった。それが大室家でな」(115頁)。
「田中が見つけたのは、共に男爵になった三家族の氏名だ。新田家、菊池家、名和家である」(124頁)。
「伊藤博文はあの辺に住んでいたんです。」「えっ?」「生まれも育ちも、熊毛郡束荷村ですよ」(211頁)。
「フルベッキ写真の子は、明治天皇でほとんど間違いないと思っていますが」・・・「その子が、大室寅之祐だという証拠がどこにもない」(307頁)。
それにしても、フルベッキ写真の対角線上のちょうど中央に彼の姿があることを示す図(78頁)を見たときは吃驚しました。(切り方によっては勿論変わりはしますが、にしても・・・)なお、一点244〜245頁の記述を見る限りでは、何故中岡慎太郎が自らが創設した陸援隊の配下(十津川郷士)に殺害されなければならなかったのか、疑問であるように思いました。
いずれにせよ、本書を読んで歴史を見る際の想像力(あるいは暴露力)が大いに養われたように思います。事実はもちろん大事ですが、自由な発見(推理)が可能なのもまた歴史の醍醐味と云えましょう。