激動の時代を生きた人の残した言葉が集約されている。
岩倉具視はじめ朝廷5人、林子平はじめ51人、山岡鉄舟はじめ刺客4人、勝海舟はじめ幕臣24人、津崎矩子はじめ女性10人、黒船来航の時の詠み人知らず6人。それぞれの人々の代表的な和歌、詩歌、寸言が紹介されている。
読者はその中から自分の心に響くものを「人生訓」とすることができる。例えば、私の個人的な選択で次の一首を挙げ、簡略に補説しておきたい。
世の人はわれをなにともゆはばいへ
わがなすことはわれのみぞしる 坂本龍馬(1835〜67)
龍馬の心情を最もよく伝える歌で、遺墨は重要文化財になっている。ただ、吉田松陰の歌「世の人はよしあしごともいはばいへ 賤が誠は神ぞ知るらん」を本歌にしている。世評を気にせず信念に生きた松蔭と龍馬。両者に似た歌があっても、私は気にならない。むしろ理の当然とみたい。
日本で最も激動の時代において、特に若者の人生に対する強く逞しい信念のこもった言葉に心惹かれる。