長州藩の幕末史といえば著者の一坂太郎氏である。高杉晋作や奇兵隊に関する著書も多い。公演なども多く、精力的な活動をしている。
著者に感じられるのは、幕末史に対する愛情・情熱である。大学進学にあたって東京へ上京したときは、東京にある幕末史跡をすべて記録しようと決心したらしい。その集大成となるのが本書である。
東京には幕末史跡が多くあるのに、いままでこのような書籍が無かったのが不思議に思える。例え存在しても、幕末史の大きな流れを傍観するようなものであって、これほど丹念な調査で造詣が深いものを見たことがない。幕末ファンでも目がいかないような史跡まで網羅されている。エピソードなども取り入れて読みやすいのも特長だ。
敬服させられるのは巻末にある「東京掃苔録」である。東京にある幕末維新に関係した人々の墓地の一覧であるが、これは著者が18年かけて自身で確認調査をしたものである。本書の続編にあたる「京阪神篇」もボリュームがあり、併せてお薦めしたい。