情報収集という役目がら新選組関連の事件にはあまり名前の出てこない中島登ですが、土方らと共に箱館まで戦い、隊士の姿絵を描き残した多彩な才能を持つ方ですね。
さて、本書についてですが、中島登が主人公となる3つの中篇からなります。
会津の戦いで命を助けた大島清慎と浜松で偶然再開し、物語が進みます。
徳川が敗れ、新政府へと移り変わる明治初期の時代設定ですが、話の流れに絡みながら時折はさまれる新選組の頃の回想が秀逸です。
まるで、映画やドラマのようにシーンが自然に切り替わり、読んでいて全く違和感がありませんでした。
かといって新選組の話ばかりではなく、各編の話も面白くとてもバランス良く感じました。
幕末を生きた新選組の話と明治に生き長らえた元隊士の話が、方言やその時代の言い回しが駆使され、ゆっくりとですが確実に時代が移り変わっていく様がみごとに描写されています。