龍馬ファン。
と云う立場がよく判らない。
ドラマや映画、司馬小説など
多くのエンタテイメントの登場人物である龍馬あるいは竜馬は
非常に魅力的ではあるけれど。
幕末、明治維新という時代に魅力を覚え、
より多く、あるいは深く味わおうとするならば、
いつまでも娯楽幕末ストーリーの枠組みの中で
足踏みを続けていても仕方がない、と思うのだ。
物語の呪縛から脱出して、史実の滋味を噛み締めてみたい。
無農薬で、人工甘味料や保存料の入っていない、
オーガニックな天然の幕末を。
この時代の日本を概観する際、
龍馬あるいは土佐藩を視点の軸に置いてしまうと
極めて判りにくいことが少なくない。
けれど、同書では次の五章からの視点が用意されている。
尊王佐幕の会津藩。
攘夷佐幕の新撰組。
尊攘激派の長州藩。
関ヶ原敗者の薩摩藩。
佐幕と勤皇と攘夷の嵐がぶつかり合う土佐藩。
これは、たいへん判りやすいですよ。
自分の興味のある章から読み始めてもいい。
混乱することはない。
幕末入門書として文庫である同書は非常にお薦めです。
著者によれば、
同書は、著者が都内で行った市民大学講座「幕末京都」が基になっている。
だから、平易で読みやすい。
娯楽性を廃した史実の地図を身体に叩き込んだ上で、
幕末とはどんな季節だったのかを考え、
次に何を読もうかと、あれこれ迷いたい。