幕末のころ、尾崎石城という下級武士によって書かれた絵日記である。
描かれた絵からは、そのときの情景が目に浮かんでくるようで、ほほえましい雰囲気がよく出ている。
日記には日常生活のこまごました事柄がかかれているが、そのほとんどが毎日友人たちと遊んだり酒を飲んだり食べたりしたこと。なんとも優雅な毎日を送っている様子である。
酒盛りの場所となっているのがお互いの家だったり、近くにあるお寺だったり、料理屋だったりするのだが、面白いのは寺の和尚も酒を飲み、近所に住む女たちもそこに集まっていることだ。江戸時代の武士というと規律に縛られ堅苦しいイメージしかなかったが、実は自由な毎日を謳歌していたようだ。
はるか200年以上前に書かれたものだが、現在の私たちが読んでいてクスクス笑ってしまうようなこっけいなエピソードもあり、また、弱者に対するこんなにもいきわたった相互扶助の関係は、果たして今もあるのだろうかと考えさせられるところもある。筆者がまえがきで述べられているように、この本を読んで少しでも未来への示唆が得られればと思う。